私有市町村道の水道管埋設の方法

 私人所有名義の市道を通って私宅に水道を引いてもらいたい旨、市水選局に申し出ましたところ、道路管理者が土地所有者の同意書の添附がなければ水道管埋設のための道路占用許可を出せないと言っているので、同意書をもらってきてほしい。同意書が出れば道路占用許可を得て水道を引くが、それまでは水道を埋設するわけにはいかないということでいまだに水道を引いてもらうことができません。どうしたらよいでしょうか。

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 土地所有者の同意をもらうよう努力し、同意書をくれないときは、同意を求める判決を求めることができます。
 国道・都道府県道・市町村道のような公道の敷地のほとんどは、国有・都道府県・市町村有であり、私人の所有のまま公道にしているものは少ないのですが、道路整備が十分でない地域には、まれにあります。本間の場合もそういう事例と思われます。
 本問の場合でも土地所有者(仮りにAさんとしておきましょう)が、自己所有地について路線の認定(道路八条)され、供用開始(道路一八条)されて、一般の交通の用に供されてしまっており、所有権の移転、抵当権の設定・移転をすることはできますが、その他の私権の行使をすることはできません(道路四条)ので、市町村に寄付等をして下さると問題は簡単になります。
 多分、市も水道局もこの道路脇のあなた達居住者もその運動をされたのでしょうが、高額な買取り請求などがあって市町村有にはなっていないのでしょう(Aさんは私権の行使はできませんが、この土地が一般交通の用に供する必要がなくなったと認められる場合においては、市町村道の路線の廃止、道路法一〇条、がされると完全な所有権が復活するということを考えているかもしれません)。
 さて、道路に水道管(道路法では単に「水管」といいます)等を設け、継続して道路を使用しようとする場合において、道路管理者の許可(道路の占用許可といいます)を受けなければなりません(道路三二条一項)。
 この場合、左に掲げる事項を記載した申請書を道路管理者に提出しなければなりません(道路三二条二項)。
 1. 道路の占用の目的
 2. 道路の占用の期間
 3. 道路の占用の場所
 4. 工作物、物件又は施設の構造
 5. 工事実施の方法
 6. 工事の時期
 7. 道路の復旧方法
 水道法の規定に基づき、水管(水道事業の用に供するものに限る。)等を道路に設けようとする者は、道路の占用の許可を受けようとする場合においては、工事を実施しようとする日の一月前までに、あらかじめ当該工事の計画書を道路管理者に提出しておかなければなりません(道路三六条一項本文)。
 水管事業は道路の占有の場所が長く、工事の期間もかかり、施設の構造もしっかりしたものであるからでしょう。
 道路管理者は、水道管による道路の占用が道路の敷地外に余地が道路の敷地外に余地がないためやむを得ないものであり、かつ次の基準に適合する場合に限り、道路の占用許可を与えることができます(道路三三条一項)。
(一)占用の期間 一〇年以内(道路令九条)占用の期間が満了した場合においてこれを更新しようとする場合も同様
(二)占用の場所(道路令一二条)
 1. 歩道の地下に埋設すること。ただし、歩道に適当な場所がなく、かつ、公益上平むを得ない事情があると認められるときは、この限りでない。
 2. 水道管の頂部と路面との距離は、一・ニメートル(工事実施上平かを得ない場合にあっては、〇・六メートル)以下としないこと。
(三)占用物件の構造(道路令一四条二項)
1. 堅固で耐久力を有するとともに、道路及び地下にある他の占用物件の構造に支障を及ぼさないものであること。
 2. 車道に埋設する場合においては、道路の強度に影響を与えないものであること。
 なお、工事実施の方法(道路令一五条、一五条の二)、工事の時期(道路令一六条)、道路の復旧の方法(道路令一七条)は、本問と関連しないので省略します。
 道路管理者は、道路の占用の許可に当って、工事の調整のための条件(道路三四条)のほか、道路の構造を保全し、交通の危険を防止し、その他円滑な交通を確保するため必要な条件を附することができることになっています(道路八七条一項)し、現に、道路の占用許可の許可条件として、各種の条件が付けられています。
 ただ、本問のような「土地所有者の同意を得ること」は法定されていません。
 しかし、私人の土地を道路として供用しているのは、私人Aと道路管理者との土地使用契約によっているものであるところ、道路の供用の廃止又は道路の区域の変更があった場合において、道路管理者は、道路を構成していた不用となった敷地を、一年を超えない不用物件管理期間が満了した後、直ちにこれを所有者に返還しなければなりません(道路九四条一項)。
 とすれば、堅固で耐久力を有する地下構造物を埋設するという私人の所有にかかる土地に重大な影響を及ぼすような道路の占用の許可に当って、道路(一般交通の用に供する道)としての使用契約の範囲を超えるものとして、道路管理者が道路の占用の許可を得ようとする水道局(水道局長)に対し、土地所有者の同意を得るように指導することは妥当というべきでしょう。
 そうしますと水道を引いてほしい貴殿らは土地所有者のAさんに水道を引くことの同意を求めることになりますが、任意には同意をしてくれないということですから、裁判上同意を求める訴を提起する以外に方法はないように考えられます。
 裁判所は、私道についてのものですが、水道が現代の日常生活に直接必要な不可欠のものであることを考えると、囲挑地通行権や通行地役権の内容ないし附随的権利として水道の供給を受けるために必要な私道を使用して必要な施設を設置する法的利益に権利性を認めています。同意、承諾してもさして自己の生活への影響もないのにあえて承諾をしない土地所有者の態度は権利の濫用とし、対象土地の地主に承諾を命じています。
 公道となっている本問の場合は、私道の場合よりも、さらに容易に承諾の判決をもらえるものと考えれます。

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