分譲マンションの共用部分の修繕費用の分担

 分譲マンションを求めようとしておりますが、分譲マンションの階段などの共用部分が壊れた場合の修繕費用はどのように分担することになるでしょうか。

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 分譲マンションの階段は、区分所有者の共有に係るものでありますから、その修繕に要する費用は、これを共有する区分所有者がその持分に応じて負担することになります。
 [分譲マンションの所有関係]
 分譲マンションとは、一棟の建物が構造上区分された数個の独立した住戸等からなりたっていて、各戸が分譲されるものをいいます。
 この分譲マンションの所有関係については、民法の特別法である「建物の区分所有等に関する法律」があります。
 同法によりますと、「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるもの」にっいては区分所有権という所有権の対象とすることができ(建物区分二条一項)、その場合の所有者を区分所有者といい(建物区分二条二項)、区分所有権の目的たる建物の部分を専有部分というとされます(建物区分二条三項)。
 また、建物のうち、専有部分以外の建物の部分等を共用部分というとされます(建物区分二条四項)。
 なお、共用部分のなかには、一部の区分所有者のみの共用に供されることの明らかなものもあります。例えば、全体のうちの数戸の住居のみに通じるエレベーターや廊下、階段といったものです。これが一部共用部分といいます(建物区分三条)。そして、共用部分及び一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属するとされます(建物区分一一条)。
 ところで、分譲マンションの住戸部分は、一棟の建物の部分で他から区分して独立して住居等の用途に供することができるものですから、この専有部分に該当して区分所有者の区分所有権の対象となります。また、廊下や階段等は専有部分以外の部分ですから共用部分となりこれを共用すべき区分所有者の共有に属するわけです(建物区分一一条)。なお、共用部分はこれを共有する者のその用法に従って使用できることは当然です(建物区分一三条)。
 [分譲マンションの管理]
 このように、分譲マンションは、区分所有者が専有する部分と区分所有者の共有に係るそれ以外の部分からなりたっているわけですが、専有部分はその区分所有者において管理すべき部分であることは当然です。これに対して、共用部分をはじめとして建物やその敷地等をいかに使用し、管理すべきかは区分所有者全員にとっての重要な問題です。
 このため、区分所有者は全員で建物、その敷地等の管理を行うための団体を構成して集会を開いて必要な決議をしたり、規約を定めるものとされるのです(建物区分三条)。この区分所有者の団体を、一般に管理組合と呼んでいます。
 なお、ここに区分所有者は全員で団体を構成しとあるのは、区分所有権を取得することによって当然にこの管理組合の構成員となるという意味です。
 また、集会において各区分所有者が有する議決権にっいては、規約に別段の定めがない限り、専有部分の床面積の割合によるものとされます(建物区分三八条・一四条)。
 [共用部分の管理]
 ところで、共用部分の管理については次のとおりとされます。
 まず、共用部分の変更は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決せられます(建物区分一七条一項)。
 次に、共用部分の管理に関する事項は、規約に別段の定めがないかぎり区分所有者及び議決権の過半数による集会の決議によるものとされます(建物区分一八条一項・三九条一項)。
 また、共用部分の保存行為については、各共有者が単独でこれを行うことができることとされます(建物区分一八条一項二項)。
 分譲マンションの廊下の修繕は、小規模な破損であれば、通常は、保存行為に該当すると考えられます。この場合は、区分所有者の誰もが単独でこれを行うことができるわけです。もつとも、修繕のついでに手すりの設置をするなどして改良等も加えるような場合には、保存行為を超えて管理行為に該当することになりますから、この場合にはここに述べた集会の決議が必要になることはいうまでもありません。
 [費用の負担]
 共用部分の管理に必要な手続きは、以上に述べたとおりですが、これに要する費用の負担については、区分所有者は、持分に応じて共用部分の負担に任ずるとされています(建物区分一九条)。
 したがって、修繕に要した費用は、各区分所有者が有する専有部分の床面積の割合に応じて分担することになります。特定の区分所有者が修繕代金等を立替えたときは、他の区分所有者に対してその持分に相当する金額を求償することになります。また、右の求債権行使を担保するため、その債務者の有する区分所有権及び建物に備え付けられた動産の上に先取特権が認められるほか(建物区分七条)、債務者の特定承継人に対してもその債権を行使することができるとされています(建物区分八条)。
 [修繕積立金]
 共用部分の管理に要する費用については、右に述べたとおりですが、修繕を要する都度、その出椙を求めるときは煩珀でもあり、場合によっては一時に多額の負担をきたすことになって不都合です。また、建物の経済的価値を維持していくためには、計画的に維持修繕工事を行うことが不可欠です。そこで、ほとんどの分譲マンションでは、規約の定めをもって毎月各区分所有者が管理費と修繕積立金を出椙することとされます。このうち、管理費は、清掃や日常の維持管理に要する費用を賄うための費用で、小修理などの費用もここから支出されることが多いでしょう。
 修繕積立金については、規約の定めにより計画的に行う相当規模の修繕や不測の事故等により必要になる修繕等に備えるための積立金であり、適時に支出するものとされています。
 なお、修繕積立金は、建物の経済的な価値を維持するという目的の下に区分所有者が拠出しあった目的のある財産ですから、区分所有者は区分所有権を他へ譲渡するときでもその返還等を請求できないことと考えられています。
 ちなみに、国土交通省の作成に係るマンション管理規約の雛型である「中高層共同住宅標準管理規約」も、区分所有者は管理費とは別に特別修繕費を管理組合に納入し、管理組合は特別修繕費を修繕積立金として積み立てるものとするとの規定が設けられていますので、参照してください。
 したがって、中古分譲マンションを購入するような場合、修繕積立金の多寡が将来の大規模修繕時の費用分担に大きく影響することを知っておくべきでしょう。
 もっとも、前の区分所有者である譲渡人がその滞納をしている場合には、その特定承継人である譲受人はその支払義務を承継することは、別問題であることはいうまでもありません。
 [結論]
 分譲マンションの階段のうち特定の数戸の住戸にのみ通じる専用階段は、二部共用部分としてこれを共用する区分所有者の共有であり、それ以外の階段は区分所有者全員の共有です。したがって、その修繕費用はこれを共有する区分所有者がその持分に応じて負担することになります。

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