開発許可制度

 開発許可制度とは、どのような制度なのでしようか。
 都市計画法は、土地利用計画の確立を目的とし、都市計画区域の市街化をはかるべき市街化区域と市街化を当面抑制すべき市街化調整区域とに区分することにより、段階的・計画的な市街化をはかろうとしています。
 この区域区分とあわせて市街化のもととなる開発行為を規制し、もってこの区域区分の趣旨を実現しようとするのが、開発許可制度です。

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 [開発行為の意味]
 開発行為とは主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画・形質の変更をいう(都計法四条一二項)とされています。
 ここでいう建築物は住宅に限られないので旧住宅地造成事業に関する法律における住宅地造成よりも広くとらえられます。
 また、特定工作物とは、コンクリートプラント等環境の悪化をもたらすおそれのある工作物(第一種特定工作物)及びゴルフコース等大規模な工作物(第二種特定工作物)で政令で定めるものをいい(都計法四条一一項)、前者にはアスファルトプラント、コンクリートプラント等、後者には野球場、遊園地、動物園、墓園などが含まれます(都計令一条)。
 区画・形質の変更とは、建築物の建築又は特定工作物の建設のための区画の変更、切土・盛土・整地をいい、単なる土地の分合筆のような権利区画の変更や、建築物の建築と一体をなす基礎打ちの類を含みません。
 また、建築行為自体も含まないので、これらは別途規制を受けることになります(都計法四一条〜四三条)。
 [他の法令による規制との関係]
(一)農地法
 農地法上、農地の転用・権利移動には都道府県知事等の許可が必要ですが、市街化区域内農地については、開発許可を受けた上で、転用等の届出をすればよく(農地四条茶一項五号・五条一項三号)、市街化調整区域内農地については、転用等の許可と開発許可との両方が必要となり、転用許可担当部局と開発許可担当部局が十分連絡調整をとり、同時に処分がなされることとされています。
(二)宅地造成等規制法
 宅地造成等規判決は、宅地造成に伴うがけくずれ又は土砂の流出による災害を防止することを目的として、この災害発生のおそれの著しい宅地造成工事規制区域を都道府県知事が指定し、区域内の宅地造成工事を許可制にするなどの規制を行っています。
 この指定区域内における開発行為は、一般的な開発許可のほかに、宅地造成に開する工事の許可を受けなければなりません。
(三)建築基準法
 建築並びに工作物確認の申請の際、その計画が都市計画法二九条、三五条の二第一項、四一条二項、四二条、四三条一項の規定に適合していることを証する書面を申請書に添付することになっています(建基法六茶・八八条、建基令一三八条三項、建基則一条六項・三条)。
 [開発許可権者等]
 開発許可権限を有するのは、原則として都道府県知事ですが、指定都市及び中核市については、それぞれの市長が許可権限を持っています(都計法八七条二項)。
 また、都道府県知事は、地方自治法一五三条二項の規定にかかわらず、人ロー〇万以上の市の長にかぎって、開発許可等の権限を委任でき(都計法八六条一項)、さらに、都道府県知事は、臨港地区に係る開発許可等について、政令に定めるところにより、その権限を港務局の長又は港湾管理者である地方公共団体の長に委任することができます(都計法八六条二項)。
 都道府県知事等は、開発許可の申請(変更申請の場合を含む)があったときは、遅滞なく、許可又は不許可の処分をしなければなりません。この処分は、文書により申請者に通知して行われます。また、不許可処分の場合は、審査請求に関する教示をしなければなりません(都計法三五条、行審五七条)。
 また、許可に当たって、都市計画上必要な条件(工事に伴う災害の防止、工事中止の場合の公共施設等の原状回復など)を付することができます(都計法七九条)。
 [開発許可に係る制裁]
 開発許可を受けずに開発行為を行った者は、五〇万円以下の罰金に処せられます(都計法九二条二号)。
 また、建築確認の際必要となる証明書が得られないため、建築確認が受けられず、家などが建てられなくなります。
 無許可の場合のほか、開発許可の内容・条件に反する場合には、都道府県知事等が、開発許可の取消・変更、条件の変更・付加のほか、工事等の停止・原状回復等の措置の命令をなすことができます。この監督処分対象者には、当該違反の事実を知って違反物件を譲り受けた者も含まれます。
 また、これらの命令をした場合には、当該違反地に標識を設置するとともに、公報に掲載し、その旨を公示します。これらの場合、あらかじめ、当該処分をし、又は措置を命ずべき者について聴聞を行わなければなりません(都計法八一条)。
 また、これらの措置の不履行については、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができない場合には、代執行が可能となります。
 市街化調整区域で無許可で開発された土地又はその土地にある建築物等に係る電気・ガス・水道の供給申し込みがあったとき、一定の要件の下で承諾を保留するよう事業者に協力要請する取扱いが、関係機関で取り決められています(昭四四計宅開発一二九、都計発一八五)。
 [開発許可制度と補償]
 特に市街化調整区域については、原則とし七開発が抑制される結果として、自分の土地に家も建てられず、加えて、線引の結果、市街化区域での地価上昇に対して、地価低下も見られます。憲法二九条三項の趣旨から、不許可等の場合には補償が必要との説もありましたが、以下の理由から、この場合補償は必要でないと考えられます。
 1. 制度の目的が、無秩序無計画な土地利用に起因する生活環境の劣悪化・都市機能の低下・公共投資の非効率化などの弊害を除去し、計画的・段階的市街化をはかろうとするものである。
 2. 土地利用が全面的に否定されるわけではなく、農林漁業等への利用は可能である。
 3. 市街化を促進するような形での利用が否定される理由が、必要な公共施設を欠くなどの内在的理由によるものである。
 4. 一定の要件を満たせば、市街化を内容とする土地利用も可能である。
 5. 開発の抑制は「当面」であって、永久ではない。
 6. 現状における利用を廃止・変更するものではない。
 7. 所要の経過措置も設けられている。
 [開発許可等に基づく地位の承継]
 開発許可又は都市計画法四三条一項の許可を受けた者の相続人その他の一般承継人は、披承継人が有していた当該許可に基づく地位を承継します(都計法四四条)。
 この場合の一般承継人とは、相続人のほか、合併後存続する法人(吸収合併の場合)又は合併により新たに設立された法人(新設合併の場合)を指します。
 また、開発許可を受けた者から当該開発区域内の土地の所有権、その他当該開発行為に関する工事を施行する権原を取得した者は、称道府県知事等の承認を受けて、当該開発許可を受けた者が有していた当該開発許可に基づく地位を承継することができます(都計法四五条)。

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