自然発生借地権

 借地権とは、建物の所有を目的とする地上権および賃借権をいいます。
 この借地権の価額は、通常その借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、国税局長の定める借地権割合を乗じて計算した金額によって評価します。
 借地権割合は、各国税局において毎年定め、評価の基準として公表しています。
 権利金の地代の一部前払い的性格を重視すれば、借地権の設定の対価は不動産所得と解されます。
 昭和33年以前は、不動産所得として課税されていました。
 権利金の土地の所有権の一部としての譲渡対価的性格を重視すれば、借地権設定の対価は譲渡所得と解されます。
 昭和34年以降は、権利金の額が土地の更地価額の2分の1を超えるものについては、譲渡所得として課税することになりました。
 2分の1を超えるかどうかの判定が困難な場合は、権利金の額が地代年額の20倍以下である場合は、譲渡所得に該当しないものと推定されます。
 昭和36年の改正で、所得税の規定に合わせるため、借地権の対価とされる経済的利益の規定が定められました。
 借地権の設定により、土地の値下りが今以上になる場合は、経済的利益の額を益金とすることに扱われます。
 昭和37年の改正で、相当の地代を収受することとして借地権の設定をした時には、権利金の認定課税は行わないことになりました。
 借地権の設定によって土地の価額の値下り割合が1/2以上に達する場合は、土地の帳簿価額の損金算入を認めることとなりました。
 昭和55年の改正で、相当の地代について、従来の更地価額のかわりに課税上弊害がなければ公示価額または相続税評価額に対して、おおむね年8%とすることができることとなりました。
 相当の地代に満たない地代の収受であっても、契約書において将来借地権を無償返還する旨の約定があり、その旨を当事者の連名により税務署長に届けた場合、借地権利金の認定は行われません。使用貸借も同様です。
 相当の地代で借地権を設定した場合は、権利金認定は行われませんが、その後地代改定をどうするか、税務署長に届出する必要があります。
 地代改訂の届出のない場合は、改定をしないものとして扱われます。
 平成元年の改正で、相当の地代について、相続税評価額またはその年分を含めた相続税評価額の過去3年間の平均額に対して、おおむね年6%とすることになりました。
 昭和48年の使用貸借に関する通達で、個人間における土地の使用貸借が権利金の授受の慣行のある地域で行われても、権利金の認定は行わないこととされました。
 また、使用貸借については個人間の借地権の贈与関係は生じないこととされました。
 昭和60年には、相当の地代を支払っている場合の借地権について、相続税および贈与税の取扱いが定められました。その後、平成元年には、地価の異常な高騰に鑑み、相当の地代を年8%から過去3年間の平均額に対する年6%とすることとなりました。
 平成3年「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」通達の一部改正が行われました。
 相当の地代とは、その土地の自用地としての評価額の過去3年間(課税時期の属する年以前3年間)の平均額のおおむね6%に相当する年地代をいいます。
 相当の地代の基礎となる価額は、その土地の自用地としての価額であり、法人税ではその価額は、時価、公示価額、相続税評価額のいずれを採用してもよいこととされています。
 なお、相続税では、自用地としての価額は、原則として相続税評価額をいうものとされています。
 個人の所有土地の長期戦略型対策方法として、土地の価額が中長期的には相当の上昇が見込まれる状況では、自然発生借地権を利用する方法があります。
 地価の上昇が見込まれる場合には、以下の方法により、個人が長生きをすればするほど土地評価額の大幅な引き下げとなります。
 個人所有地を会社へ賃貸し、会社名義で建物を建築します。
 会社がない場合は、新たに会社を作り、その上で個人の土地の上に会社名義の建物を建築します。現在、土地建物を会社へ賃貸している場合は、建物だけを会社へ売却する方法をとればよいでしょう。
 この対策のポイントは、次の4つです。
 個人所有地を会社へ有料で賃貸します。しかも、あくまでも建物を建築するために貸与します。すなわち、会社に借地権を持たせ、個人は底地権を所有する仕組みを作ります。
 会社は個人に「相当の地代」を支払います。相当の地代とは、土地の相続税評価額の年6%程度の地代をいいます。
 賃貸契約時にこの相当の地代を支払えば、会社が個人に権判金を支払わなくても税務上権利金の認定の問題は生じません。年6%は、過去3年間の評価額の平均によるものとします。
 地代は、この効果を最大にするためには、半永久的に据え置くこと。
 相当の地代の据置きによる自然発生借地権の移転は、相続税評価額が上昇している場合にのみ効果を有すること。
 以上により、個人の土地の相続税評価額は、値上がりをおさえることが出来ます。

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