敷地権設定マンションの税法上の特例

 ワンルームマンションやアパートなどへの不動産投資による節税策を封じる目的で、いわゆる損益通算規制が導入されました。その内容は、不動産所得の金額の計算において生じる損失金額のうち、土地等の取得にかかる部分の借入金利子は、所得税における他の所得との損益通算の対象としないというものです。ただし、建物部分の取得にかかる借入金利子に対応する損失分は、従来どおり他の所得との損益通算ができます。
 そこで、一番の問題になるのは、土地と建物を一括して取得した場合の対価区分の方法です。
 また、特定の事薬用資産の買換えの特例を利用する場合等でもこの対価区分は重要です。
 しかし、この対価区分の方法については、具体的計算方法などは定められず、実務に委ねられることになったため、建物部分の償却費の計上が適正かどうかといったことがポイントとなります。
 つまり、住宅取得控除や土地重課などで使われる土地・建物部分の対価区分にかかる手法などは、政令でその定めがないため使用できません。そこで、留意すべきなのは建物部分の償却費の額が過大であれぼ、これを規制する公算があること、つまり、建物部分の償却費はその取得価額が明らかでないと計上できないということです。適正な償却費を計上することで建物部分の取得価額が決定され、結果として、借入金利子に対応する土地等の部分の額も確定してくるという方法がとられていることになります。
 ただ、ここで留意すべきは、土地と建物とを一括で購入した場合に、一部自己資金を入れて不足額を借入金でまかなっていたような時には、借入金の金額は、まず建物の取得に充てられ、次に土地の取得に充てられたとみなすという取扱いが定められているという点です。
 これにより、自己資金を多く入れればそれだけ、損益通算の対象外とされる土地の借入に係る借入金利子が減るため、この規制の影響を減らすことができることになります。
 ただし、この取扱いは、土地と建物を同一の者から一括で購入したため、借入金の区分が困難な場合などに限定された考え方ですので、マンション等にはあてはまりますが、土地と建物を別々の業者から購入した場合などには適用されませんので、その点にも注意が必要です。
 いずれにせよ、この損益通算規制により、ブームを呼んできたワンルームマンションヘの投資による不動産節税のメリットは大幅に削減されることになりました。
 土地の持分の多いマンション(例えば、共用の庭などが多く、比較的低層タイプのものなど)では、とても興味深い現象が超こります。
 A氏は8950万円で、専有面積75平方メートル、敷地権割合約50坪のマンション(平均的にみてもかなり敷地の持分が多い)を購入しました。相続税の路線価は1平方メートルあたり約70万円になっています。そこで、持分の上地の価格を計算すると、
 50坪×3.3平方メートル=165平方メートル 165平方メートル×70万=1億1550万円
 計算した上地持分の価格だけで、マンション購入金額を超えてしまうのです。敷地権割合の多いマンションなどではこのような逆転現象が起きることもあるのです。
 区分所有建物での敷地権割合というのは、そのマンションの財産的価値を見る上でとても重要なのです。
 近年、土地の権判者が数人集まって、1つのビルを共同で建てる傾向が増えつつあります。
 自分のところだけでペンシルビルのような非効率なものを建てるよりも、共同ですることにより容積率などの点でも有利ですし、建築費などの面でも割安です。
 そして、この共同ビル事業を行うにあたり、重要なのは、どのような権利形体で所有するかということです。共有という形をとるよりも、区分所有にする方が、建物全体の権利関係も明確ですし、区分所有部分の処分にも法制上整備されているので資産性が高いといえます。
 また、相続などの場合に土地を分けてしまうと使いものにならないくらい狭少になるため、売却してお金で分割する話などよく耳にしますが、このような区分所有のビルなどにして相続する場合、それぞれが区分所有権を手に入れ、権利関係を明確にできるのでもめごとも少ないでしょう。将来の相続を考え、兄弟骨肉の争いを避けるためにも、区分所有のビルを建てるといった例も徐々に増えています。

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