借地借家法の成立

 借地、借家に関する法律としては、従来から借地法、借家法、建物保護二関スル法律と3法がありました。
 借地法は大正10年、借家法は同じく大正10年、建物保護二関スル法律は明治42年に、それぞれ制定され、以降昭和16年には「正当事由」の制度導入、昭和41年には部分的な改正がなされ、現在に至りました。その間、借地法は借地権の存続期間、契約の更新等について、また借家法も契約の更新等について、強行法規とすることにより借地・借家人の保護をはかってきました。 しかし社会状況の変化から、これらの法律が現実の借地借家関係などを規制する法律としてそぐわなくなりました。
 そこで、昭和60年10月に法制審議会の民法部会において借地法・借家法の改正作業が着手され、同年の11月15目に、「借地・借家法改正に関する問題点」が法務省民事局参事官室から公表されました。そして、この問題点に対する意見を直接の当事者である貸家・地主組合とか借家・借地人組合、裁判所、学界(大学)、弁護士会、不動産関係団体等から聞き、それに基づいて、平成元年3月17目に、「借地法・借家法改正要綱試案」が同じく参事官室から公表されました。
 平成3年2月4日、この「要綱試案」に対する意見を踏まえた「借地法等改正要綱」が法制審議会で決定され、これに基づいて法律案がつくられ、国会に上程され、平成3年9月30目に若干の修正を経て可決成立し、10月4日に公布されました。そして、この法律(借地借家法)は、平成4年8月1日から施行されています。
 この「借地借家法」は新法として制定された形をとっていますが、実質は前述のとおり「建物保護二関スル法律」「借地法」および「借家法」に必要な改正を全般的に施したうえ、これらを一つの法律に統合したものにほかなりません。
 借地借家法の主なポイントは次のとおりです。
 更新規定の適用を受けない借地権の新設、定期借地権、建物譲渡特約付借地権。
借地権の存続期間・更新後の期間変更、原則として存続期間は30年、更新後は10年。
 建物が滅失した場合の取扱いを整備。
 更新拒絶の「正当事由」となる事由列挙立退料の提供が「正当事由」の判断事由となることを明記。
 自己借地権を新設。
 建物が滅失した場合にも一定の範囲で借地権の対抗力を深める。
 更新規定の適用を受けない借家契約の新設。
 賃貸人の不在期間の建物賃貸借取り壊し予定建物の賃貸借。
 解約申し入れ・更新拒絶の正当事由となる事由の列挙立退料の提供が「正当事由」の判断事由となることを明記。
 造作買取り請求権の任意規定化。
 しかし、従来からの借地借家関係を改正法によって変更を加えると、大きな混乱が生じるため、改正法によって新しく作られた制度は、法改正後以降に契約された新しい契約にのみ適用し、既存の契約関係には影響を与えないものとするのが改正法の基本的立場となっています。
 借地、借家契約のトラブルは、借地権、借家権などというものについて資産価値が一般化する前の古い契約によるもの、貸借契約解除についての正当性について貸主、借主の立場の差、借地権および借家権を金額的にどう評価するかについての当初契約時の成り行きや土地の評価に対する立場の差からくる食い違いによるものが大半です。現象としては、「一度貸したらなかなか返ってこない」「借りるために高い保証金を取られた」「立退料や借地権代が高い、安い」というような争いになっています。
 したがって、改正法は現在の借地や借家契約に伴うトラブルの解決に効果的に働くとは当然考えられませんが、トラブル解決にあたって一つの参考にされることになるでしょう。
 同時に改正法の意図している土地、建物の権利関係を多様化させて、土地、建物の立体的な利活用、住空間を新たに追出するという効果はそれなりのことが期待できるでしょう。がしかし、借地、借家契約解除の際の正当事由については、改正法においても過去の判例などを追認するという内容のものにとどまっていて、視点を変えた再度の改正などが求められています。
 ただ、この近年の土地、建物の貸借契約にかかるトラブルなどを考えますと、借地、借家関係の法律改正が遅きに失したとも考えられます。

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