借地権

 借地法」は、大正10年4月8日に公布・施行された法律で、昭和16年に大幅に改正され、今日的な借地権者保護の礎が築かれました。その後、昭和41年には、地代の値上げに対して借地人はその確定までは相当額の支払いをすれば良いこととし、借地権の譲渡等については地主の承諾に代わる手続きとして裁判所による非訟手続きが制定されました。
 ところで、近年の土地価格の高騰に伴う住宅用地の供給不足に苦慮した政府は、定期借地権の導入等によって地価対策並びに住宅用地の供給増を目指した法改正を平成3年9月30日成立させ、平成4年8月1日から施行されました。
 ここでは、改正法の基礎ともなっている昭和16年の改正について詳しく述べます。
 それまでは、地主の権利が強くて借地権者の地位がしばしば脅かされていましたが、地主が借地契約の更新を拒絶するには正当な事由を要する旨の改正がなされ、今日の借地法を貫く借地権者保護の立場が全面的に表明されました。借地人が土地の所有者と借地契約を締結している時に、借地権の存続期間が満了しても、なおかつ建物が存続している場合には、借地人が借地契約の継続を希望すれば、地主の側に正当な事由がなければ、その更新を拒絶し得ないとしました(旧借地法4、6)。この正当な事由について、旧法においては土地の所有者が自ら使用することを例示しているにとどまり、その他については何ら具体的に述べていません。 したがって、判例によれば、正当な事由にあたるか否かは、「借地権者が土地の使用を必要とする事情」「借地に関する従前の経過」「土地の利用状況」「土地の存する地域の状況」等を総合的に勘案して判定することになっていました。
 こうした判例の積み重ねを受けて、借地借家法においては、借地権者と土地所有者との権利関係を調整する手段として借地における「正当事由」の明確化が条文上明らかにされました。借地借家法では、借地においては、貸主および借主が土地の使用を必要とする事情、借地に関する従前の経過、土地の利用状況、財産的給付の申出(立退料)というように列挙されており、借家においては、建物の現況が加わっています。
 正当事由は、借地、借家関係の解消の要件で制度のかなめとなるところですが、結論からみて、旧法と改正法は基本的に変わっていません。借地、借家関係の継続的関係を永続させるための保障制度において、既存の借地権と改正法の普通借地権とは大差はありません。
 借地権とは、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいいます(借地借家法2)。
 この建物とは、土地に定着する建造物のうち、住居・営業・物品の貯蔵等の目的で使用されるもので、独立性のあるものをいい、工作物(民法265)のうち家屋等ほとんどのものが含まれますが、最終的には、社会通念と借地法上の趣旨によって決められます。しかも、「建物の意義は一般社会通念に従って解するをもって足りるものとしなければならぬ。課税のための公簿に記入されているかどうかは、課税に関する行政法上の問題であって、借地法上の建物の意義を定めるについては別段関係のない事柄である。」という最高裁の判例が昭和28年12月24日にでています。
 建物の所有目的については、通説では、それが主たる目的であることが必要で、他の目的の従たるものとして建物がおかれる場合には、借地法上の適用はありません。具体的な判例においては、借地法上の適用を否定したものとして、ゴルフ練習場・ゴルフ場・駐車場または簡易車庫・中古車展示場.バスターミナル出入口・養魚場・釣り堀等があり、肯定したものとして、船舶修理工場・自動車修理工場等があります。
 地上権と賃借権は旧建物保護二関スル法律第1条に明示されていましたが、借地借家法にそのまま引き継がれ、両者は借地権として改正法でとらえられています。
 また、民法第269条ノ2に規定されている地下または空中の地上権も、土地の垂直的延長上にあるので、借地権の成立が認められており、地下または地上の賃借権払「借地借家法」第10条の規定の範囲内で第三者に対抗力を有しています。
 地上権は、民法第265条に、「地上権者は他人の土地に於いて工作物又は竹本を所有する為その土地を使用する権利を有す。」と規定されています。そもそも、地上権とは、建物を建築し、道路・トンネル・橋・地下鉄・地下街・高架線路等を建設し、植林等の目的で、他人の土地を使用する物権で、土地所有者の所有権を一部制限するものですので、地上権者が、物権法定主義の下に保護されている結果、土地の所有者としては、他人に土地を使用させる時、地上権ではなくて賃借権たる賃貸借契約を締結するのが通例でした。この賃貸借は、債権であるため、物権たる地上権と比して法律の保護が弱く、契約自由の原則に基づいて、土地所有者が自分に有利に契約を締結できるため、明治31年7月の民法施行以降は、ほとんど全てが、この賃貸借契約です。そこで、他人の土地を利用する者の地位が非常に脆弱になり、その弊害が借地人およびそこに存在する建物を通した社会関係に顕われてきました。ここにおいて、土地の所有者に、借地に頼る生活関係と企業組織を破壊するような権利を認めるわけにはいかなくなり、建物所有を目的とする賃借権を強化して、地上権に接近させてきたので。しかしながら、最近、借地権者の地位があまりにも強くなり過ぎた結果、新たな借地権の設定は難しくなり、土地の有効利用という観点からも問題が生じていました。
 借地借家法は「定期借地権」を創設し、確定期限で終了する借地借家関係を新たに規定しています。

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