建物増改築承諾料と借地条件変更承諾料

 建物の所有を目的として土地を賃借した者は、賃借権の存続期間内において、自由に建物の増改築をすることができます。しかし、地主が借他人と賃貸借契約を結ぶ時には、契約条項の中に、建物の増改築禁止の特約を書き加える場合が多いのです。この特約と借地借家法第17条との関係が問題になってきます。
 借地借家法第17条第2項によれば、増改築を制限する旨の借地条件が存在する場合には、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき、当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築について、土地所有者または賃貸者の承諾に代わる許可を与えることができます。しかし、裁判所が、増改築の許可を与えるか否かは、さまざまな状況、例えば、残存期間が長いか短いか、土地の利用状況からして問題はないか等を考慮して決めます。
 この増改築禁止の特約に違反した場合には、通常この特約が盛り込まれています土地の所有者による土地の賃貸借契約の無催告解除権が有効か否かが裁判で争われます。この場合、特約だけでなく、特約が賃貸借関係の基礎を破壊するほどのものであるか否か、契約当時の社会および賃借人の個人的な状況等も考慮してその解除権の効力が判定されます。
 増改築禁止の特約がある場合、旧において述べたように、当事者間の協議が調わない場合は、その判断を裁判所に委ねることになります。裁判所は、このような申立てがあると、土地所有者と借他者との双方の利害を調整して、増改築の許可を与えることになります。その際、さまざまな状況を考慮して、地代を値上げするとか、承諾料を支払わせるとか、することになります。
 今までの裁判例によりますと、承諾料を全然支払わない場合から、土地の更地価格の5%〜10%を承諾料として支払う場合まで、さまざまです。
 増改築禁止の特約がない場合、借地人は、原則として、地主の承諾なく増改築をすることができます。 しかし、その後の賃貸借契約関係をスムーズにするために、土地の時価の2〜3%が承諾料として支払われるケースが多いようです。
 借地条件変更に伴う承諾料、木造等の非堅固な建物の所有を目的とする賃貸借契約と鉄筋コンクリート造等の堅固な建物の所有を目的とする賃貸借契約とは、|日法においては、全く違った取扱区分になっていましたが借地借家法では、堅固な建物と堅固でない建物との取扱いの違いを廃止しましたから、今後は、堅固でない建物を建てるという特約には、期間を定める点での法律上の大きな意味はなくなることになります。
 ただ、堅固・非堅固に限らず、建物の種類・構造・規模または用途を定める特約は、今後もなされるでしょう。それは、その土地をどのように利用するかについては、地代や建物買収請求と密接な関係があるために、地主と借他人との間でそのような契約がされるのは理由があると考えられるからです。
 そのような条件がいったん成立しても、土地の利用についての公的な規制の変更や周囲の土地の利用状況等によって相当でなくなることがありますが、そのような場合に、これを改めたいとする者にどのような手だてがあるかについては、これまでは一般的な規定はありませんでした。
 堅固でない建物を建てるという条件がある場合に、堅固な建物を建てることが相当となったとしてその条件の変更を裁判所に申し立てることができる旨の規定があっただけです(旧借地法8ノ2)。そこで新借地借家法では、この堅固な建物と堅固でない建物の条件の変更の規定を拡張して、これを建物の種類・構造・規模または用途を定める特約一般に適用できるものにしました(借地借家法17)。つまり、事情が変わったため、種類・構造などが特約で示したところと異なる建物を建てる方が相当と考えられるようになった場合に、地主の同意が得られなければ、裁判所に申立てをすることができるようになるのです。

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