借家権に係わる税金

 借家権は建物の賃貸借契約にもとづく建物の占有、使用する権利といわれていますが、税務上の問題は賃貸借契約の解除に伴い授受される立退料の扱いとして発生するケースが大部分です。
 立退料の支払側である家主の場合は、立退料の支払額全額が立退いた後の建物の処理によって異なってきます。
 今後ともその建物を所有し、その建物から家賃収入が期待できる場合は、家賃収入に対応した費用となります。
 立退いた建物を撤去して、ないしはそのまま土地を譲渡した場合には、譲渡所得の計算に際して譲渡費用として扱われます。
 一方、立退料を受取った側の税務上の扱いは、立退料は3つの異なる内容から構成されるとされて、それぞれその扱いが異なってきます。
 一つは、借家権の対価と見なされるもので、土地や建物の譲渡ではないので総合課税の譲渡所得として扱われ課税されます。
 具体的な所得金額の計算は次のようになります。
 取得してから5年以内の立退き
 課税所得金額=立退料(取得費十譲渡費用)−50万円(特別控除額)
 取得してから5年を経過した立退き
 課税所得金額={立退料−(取得費十譲渡費用)−50万円(特別控除額)}×1/2
 二つ目は引っ越しなどの費用補償の性格を有するものです。これらは立退きによって発生するであろう引っ越し費用に充当するために費用弁償として支払われるものです。
 したがって、収入金額から引っ越し費用などの実費を差し引いたものが一時所得として扱われ、その所得金額の計算はつぎのようになります。
 所得金額={収入金額一実費−50万円(特別控除額)}×1/2
 最後は営業補償としての立退料であり、家屋の明け渡しによって営業が継続できなくなったり、また、一時休業しなけれぼならなくなった場合の、本来なら営業活動の収益から賄った人件費や営業活動によって得られるべき純利益などを補償するものです。
 したがって、これは事業所得計算に際して雑収入として処理することになり、それだけ実際より事業所得が増加することになります。
 このように立退料は3つのものから構成されるものとされ、それらの税務上の扱いは異なってくるので、立退料の授受に際しての立退料の算出根拠、賃貸借契約解除契約上での表現によって税負担が変ってくることになります。
 加えて、営業補償としての部分については、その収入計上時期の関係で税負担が異なることもあります。営業閉鎖や営業休止して営業成績が落ち込んだ年度の収入となるか、青色申告による青色欠損の繰延べで対応するかいずれかに該当させたいものです。
 以上、支払側、受取側と双方の立場で借家権に係わる税問題を述べましたが、受取側については、明け渡し交渉の際に税務上の問題を念頭におくことが、立退料の税引後の手取額を左右することになります。単に立退料の額のみにこだわるべきではありません。
 最後に、当事者が法人の場合の扱いですが、単純に支払額は費用、受取額は収益と処理しなければなりません。

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