減価償却

 建物は時の経過につれその価値が減少していきます。その減少した金額を合理的に見積ることが減価償却です。減価償却費の算定方法には、定額法、定率法等があります。定額法は当初の取得価額を基に償却費を計算し、定率法は減価した金額を除いた残額を基に償却費を計算します。算定された減価償却費は、建物を賃貸している、すなわち業務の用に供している場合には、各年分の不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されます。
 不動産所得の金額の計算における減価償却の方法は、建物、建物付属設備、構築物などの区分毎に定額法または定率法を選定し、次に掲げる日までに届出なければなりません。
 新たな業務を開始した場合、業務を開始した年の翌年3月15日
 償却方法を選定している資産以外の資産を取得した場合、資産を取得した年の翌年3月15日
 届出ない場合には、法定償却方法である定額法を用いて償却費を計算することになります。従って定額法を採用するのであれば届出る必要はありません。
 減価償却の基礎となる資産の取得価額は、減価償却資産が稼動するまでに支出した金額の総額です。すなわち購入した場合には、購入代価、引取運賃、購入手数料等の購入諸掛、据付費、試運転等の、その資産を業務の用に供するために直接要した費用の額の合計額となります。
 減価償却資産の取得に際し、その資産を使用していた者に支払う立退料その他立退かせるために要した金額は、その減価償却資産の取得価額に算入します。
 マンション建設に当たって支払った補償金等、次に掲げる費用の額は資産の取得価額に算入します。
 取得に関して争いのある資産について、その所有権等を取得するために支出した訴訟費用、和解費用等の額、取得後紛争を生ずることが当初から予想されていたもの、例えばマンション等の建設に件って支出する住民対策費等の額(毎年支出するものを除く)。
 業務用固定資産に係る借入金の利子、金銭消費貸借契約書の印紙代、抵当権設定のための登記費用、ローン事務手数料、保証事務手数料等は、それぞれの期間に応じ次のように取扱います。
 業務開始前の期間に対応するもの(全く新規に賃貸を開始した場合など)、取得価額算入
 業務開始後、使用開始前の期間に対応するもの、必要経費(または取得価額)算入
 業務開始後の期間に対応するもの、必要経費算入すなわち、既に賃貸事業を行っているのであれば、新規物件であっても借入金利子は必要経費に算入できます。
 業務用資産に係る固定資産税、登録免許税、不動産取得税等は必要経費に算入されるので、取得価額を構成するものではありません。
 償却方法を定額法から定率法に変更した場合には、その後の償却費は次の算式により求められます。
 年初未償却残額×定率法償却率
 償却方法を定率法から定額法に変更した場合には、その後の償却費は次の算式により求められます。
 (年初未償却残額一取得価額×10パーセント)×定額法償却率
 年の中途で業務の用に供さなくなった場合の償却費の計算は年の中途で業務の用に供した場合と同様ですが、原則法のみで2分の1簡便法の適用がないことに留意しなければなりません。
 減価償却資産で業務の用に供していないものを業務の用に供した場合には、その資産の償却費の額は、その業務の用に供した日にその資産の譲渡があったものとみなしてその資産の取得資を計算し、その取得費相当額を未償却残額とみなして計算します。
 資本的支出とは、使用可能期間を延長させるなどの資産の価額を増加させるための支出ですが、通常の管理、維持のために行う修繕費と区分することは難しいケースが多いものです。従って区分できない場合は次のような形式的な基準により修繕費と資本的支出を区別します。
 その支出が20万円未満または3年以内の周期で行われる場合・・・全額修繕費
 資本的支出と修繕費が混合している場合において、その支出額が60万円未満または前年末取得価額の10パーセント相当額以下である場合・・・全額修繕費
 資本的支出と修繕費が混合している場合において、前記以外の場合・・・区分不明な金額の30パーセント相当額と前年末取得価額の10パーセント相当額とのいずれか少ない方の金額を修繕費とし、残りを資本的支出とする(継続適用が前提です)。
 資本的支出があった場合におけるその年の償却費の計算は、本体部分と資本的支出部分を別々に計算します。なお耐用年数は法定耐用年数により、また、資本的支出部分の償却費は、年の中途に業務の用に供した場合に準じて計算します。
 減価償却資産の償却費としてその年の前年以前の各年において必要経費に算入された金額と、その年において償却費として必要経費に算入された金額の合計額が、その資産の取得価額の95パーセント相当額(償却可能限度額)に達したときに、その資産の減価償却は終ります。
 中古資産を取得して業務の用に供した場合には、その資産の償却額計算において用いる耐用年数は、見積ったその資産の使用可能年数によることができます。
 減価償却資産を年の中途において従来使用されていた用途から他の用途に転用した場合には、その年において転用した減価償却資産の全部について、その転用した日の属する年の1月1日から、転用後の耐用年数により償却費を計算することができます。転用した減価償却資産の一部についてのみこの方法により償却費を計算することはできないことに注意が必要です。
 現に稼動していない資産であっても、業務の用に供するために維持補修が行われており、いつでも動かせる状態にあるときは、減価償却を行うことができます。例えばマンション等を貸付けている場合において、使用されていない部屋があったとしても、いつでも貸せるように維持修繕を行っている等の場合には、その部屋を含めて減価償却を行うことができます。
 また、業務の用に供した日とは、使用を開始するに至った日ですから、貸家業を営むときに借家人を募集したが空家であるという場合には、その借家人を募集した時が業務の用に供した日となり、この日から減価償却を行うこととなります。
 建設中の建物等で業務の用に供していないものは減価償却資産には該当しません。しかし、建設中であっても、完成した部分を業務の用に供している場合には、その部分は減価償却資産に該当し、償却を行うことができます。

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