新築貸家の割増償却

 個人が、都市計画法に規定する都市計画区域のうち市街化区域(未線引地域については用途地域と定められている区域)で、新築された貸家住宅を取得し、または貸家住宅を新築してこれを貸家の用に供した場合には、その個人の不動産所得の金額の計算上、その貸家の用に供した日以後5年以内で貸家の用に供している期間に限り、その貸家住宅の償却費として必要経費に算入する金額を、通常の減価償却費に次の表に掲げる償却率を乗じた償却額とすることが認められていました。
 このような特例を「新築貸家住宅の割増償却」といいました。
 新築貸家住宅の割増償却の適用を受けることのできる貸家住宅とは、新築後使用されたことのない家屋(増築については、増築後使用されたことのないその増築部分)のうち、次の2に掲げる「一般貸家住宅」に該当するもので、その形態により次の(1)(2)(3)に区分されます。
(1)単独家屋、共同家屋以外の家屋(1)(2)単独所有の共同家屋、共同家屋(家屋でその構造上区分された各独立部分を住居その他の用に供することができるもの)で床面積の2分の1以上に相当する部分が一般貸家住宅に該当するもの(1)(3)区分所有する者がある共同家屋、共同家屋で床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供され、かつ、その者の区分所有する部分の床面積の2分の1以上に相当する部分が一般貸家住宅に該当するもの
 上記(1)(2)(3)のいずれかに該当するものが割増償却の適用対象となる貸家住宅となります。
 しかし、そのいずれも「一般貸家住宅」の要件を満たすものに限られ、また共同家屋にあっては一般貸家住宅に該当する部分のみが適用対象とされます。
 では、一般貸家住宅とはどのようなものなのでしょうか。
 一般貸家住宅とは、次の(1)(2)(3)(4)の要件のすべてに該当する家屋、共同家屋にあってはその各独立部分に係る廊下、階段その他共用に供されている部分を含むその独立部分で、住宅として貸家の用に供されているものをいいます。
 (1) 社宅等でないこと
 その割増償却の適用を受けようとする個人の営む事業(その家屋の貸付その他の行為で事業と称するに至らないものを含む)に係る使用人の居住の用に供されている家屋はこの特例の適用対象とはなりません。ただし、その使用人が一般の人と同一の条件で居住している場合は除かれます。
 (2) 面積基準
 その家屋の床面積(共同家屋にあっては、その各独立部分に係る廊下、階段その他の共用部分の床面積を除く)が、次の掲げる範囲内であること。
 (3) 設備基準
 その家屋が専用の台所、浴室、便所および洗面設備を備えたものであること。
 (4) 取得価額基準
 その家屋(増築についてはその増築部分)の3.3平方メートル当りの取得価額(その家屋の特定附属設備以外の附属設備に係るものを除く)がその構造に従い、次に掲げるものであること。
 また、住宅用家屋が住宅として貸家の用と店舗、事務所その他の用に供されている場合には、その家屋は一般貸家住宅に該当しませんが、店舗、事務所その他の用に供されている床面積がその全体の床面積の10分の1以下であるときは、その家屋は一般貸家住宅に該当することになります。
 以上のように、この特例の適用を受けるためには種々の要件を満たす必要があります。その判定に際し注意すべき点その他について説明します。
 共同家屋全体の床面積、または区分所有共同家屋の所有者が所有するその区分所有部分の床面積の2分の1以上が一般貸家住宅に該当するかどうかを判定する場合、一般貸家住宅の床面積には、その一般貸家住宅に係る廊下、階段その他共用に供すべき部分の床面積が含まれます。
 共同家屋の床面積基準を判定する場合、その家屋の共用部分の床面積はその判定の基礎となる床面積には含めません。
 ここでいう床面積とは、建築基準法施行令第2条第1項第3号に規定されているものです。
 同法では「建築物の各階またはその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による」とされています。
 また「屋外部分とみなされる部分(ベランダ、バルコニー等)」は床面積に含まれないものとされています。
 特定附属設備とは、建物の電気設備(内燃力発電設備および蓄電池電源設備を除く)、給排水設備、衛生設備、ガス設備をいいます。この特定附属設備の取得のために要した価額は、取得価額基準の判定の基礎となる取得価額に含まれることになります。
 2つの構造から成る場合、一戸の家屋が耐火建築物に該当する部分および耐火建築物以外の建築物に該当する部分から成っている場合には、その家屋の取得価額基準の判定の基礎となる取得価額は次の算式により算出した金額によります。
 収用交換等により取得した代替資産または特定の事薬用資産の買換えにより取得したもので譲渡所得の計算の特例の適用を受けた資産等については、その家屋が割増償却の要件をすべて満たすものであってもこの特例の適用を受けることはできません。
 この特例は青色申告・白色申告の区別なくいずれの場合にも適用されます。
 また、この特例を受けるためには、確定申告書に割増償却の規定による割増償却額の必要経費算入に関する記載があり、かつ、その計算に関する明細書の添付がある場合に限り適用されます。

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