支払利息の取扱

 特定の資金調達による借入金によって不動産の購入・造成などを行った場合の支払利息は、発生した支出時の期間費用(損金に算入)なのか当該土地等の資産の取得価額を構成するものであるか否かということが問題になります。
 これを、販売を目的とした棚卸資産と法人で長期にわたり使用することを目的として保有する固定資産に分けて検討します。
 棚卸資産の取得価額には、直接要したすべての費用が含まれるが、借入金の利子については、次に掲げるような費用の額は、たとえ棚卸資産の取得または保有に関連して支出するものであっても、その取得価額に算入しないことができる。と規定しています。
 紐付き借入金の支払利息でも当該棚卸資産の取得価額に算入するか、それとも期間費用として処理するかは、法人の選択に任せるということです。
 このことは、後で述べます固定資産の紐付き借入金の支払利息についても、「法人税基本通達7-3-1の2および7-3-3の2」で同じように法人の任意とする旨が明らかにされています。
 もともと支払利子の原価性については、肯定説と否定説に分かれており、その本質的な解明は容易なことではありません。
 「企業会計原則と関係法令との調整に関する意見書」の第四、棚卸資産の評価について、第一五1で「たな卸資産の購入に要した負債利子あるいは、たな卸資産を取得してから処分するまでの間に生ずる資金利子を取得原価に含めるかどうかは問題であるが利子は期間費用とすることが一般の慣行であるから、これを含めないことを建前とすべきである」としています。
 「不動産開発事業を行う場合の支払利子の監査上の取扱いについて」日本公認会計士協会の意見書第四の意見書をもとに、最近の不動産開発事業の特殊性から、支払利息は期間費用を原則としつつも、所要資金が紐付、金利は一般的妥当なもの、原価の算入は開発の終期の完了まで、正常な開発期間の支払利息、開発着手から完了までの期間が相当の長期間で重要なもの、財務諸表に原価算入の注記、継続性を条件
 上記の条件を備えているものについては、支払利子の原価算入を容認しても差支えないとしています。
 固定資産の取得価額に含める付随費用などについて「引取運賃、荷役費、その他当該資産の事業の用に供するために直接要した費用の額」とし、非減価償却資産については規定されておりませんが、準用されるでしょう。
 とくに紐付き借入金の支払利息について「たとえ当該固定資産の使用開始前の期間に係るものであっても、これを当該固定資産の取得価額に算入しないことができるものとする。」と規定しています。
 法人税法の取扱いでは、固定資産の使用開始前の支払利息については、当該資産の取得価額に含めてもよい、単純に期間費用として損金算入してもよいことになっており、法人の任意であるということは、前述した棚卸資産と同じ取扱いです。税法では取得価額の付随費用という視点からは、棚卸資産と固定資産を区別して規定する必要はないという考え方でしょう。
 ただし、この支払利息を建設仮勘定に含めて処理しているときは、その後の事業年度で支払利息を固定資産から抜き出して損金算入することは認められません。建設仮勘定も資産勘定であり、この後の事業年度に支払利息を抜き出さないで繰越したことは、支払利息を取得価額に含めて処理する会計処理を選択したとみるからです。
 棚卸資産で述べたように肯定・否定両説があります。
 「企業会計原則と関係法令との調整に関する意見書」の第三の第一、四固定資産の取得原価と残存価額、2自家建設では「固定資産の建設に要する借入資本の利子で稼動前の期間に属するものは、これを取得原価に算入することができる。」として、資産の取得と因果関係が密接な建設のために支払った利子は、その原価性を認めています。
 以上、税法ならびに会計理論上の利子の取扱いを検討しましたが、稼動後の支払利子については、税務上も会計理論上からも資産計上は認められず期間費用(損金算入)として会計処理することになります。
 電気・ガス・鉄道業などの業種別会計規則では、稼動前の紐付き借入金の支払利息は、固定資産の取得価額に含めると特に規定されております。

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