所得税の全体的計算方法

 所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に掲げる所得について課せられることになります。
 非永往者以外の居住者・・・すべての所得
 非永住者・・・所得税法第161条に規定する国内源泉所得およびこれ以外の所得で国内において支払われ、または国外から送金されたもの
 非居住者・・・所得税法第164条第1項各号に掲げる非居往者の区分に応じそれぞれ同項各号および同条第2項各号に掲げる国内源泉所得
 所得税では所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得および雑所得の10種類に分類し、それぞれの所得の種類ごとに所得の金額の計算方法を定め、各所得に対する税負担の公平をはかっています。
 給料と譲渡所得を比較してみます。給料は毎日の労働の対価として毎月もらうものですが、譲渡所得は資産を取得してから譲渡するまでの間の価値の上昇の積み重ねによって発生したものであり、10年、20年の間の価値の増娘分と、1年分の給料に対する課税方法が同一では現在の超過累進課税制度の中では不合理ですので、各所得ごとに所得の計算方法を定め、各所得間の課税上の不合理を排除しているわけです。
お金のトラブル
 所得税の課税標準は総所得金額、退職所得金額および山林所得金額をいいますが、ここでいう総所得金額は、次の1.の金額と2.の金額の合計額をいいます。
 1. 利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、総合課税の短期譲渡所得の金額および雑所得の金額の合計額
 2. 総合課税の長期譲渡所得の金額および一時所得の金額の合計額の2分の1に相当する額
 ただし源泉分離課税の適用を受ける利子所得、源泉分離課税を選択した配当所得、確定申告をしないことを選択した少額配当所得等、ならびに分離課税の対象となる事業所得等、あるいは分離課税の譲渡所得等は上記1.、2.から除外して計算することになります。
 総所得金額、退職所得金額または山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額(制限があります)、事業所得の金額、山林所得の金額または譲渡所得の金額の計算上生じた損失があるときは、次の順序でこの損失の金額を他の所得金額から控除することになります。
 損益通算の順序は不動産所得の金額(損益通算が可能な損失に限ります)または事業所得の金額の計算上生じた損失があるときは、これをまず他の経常所得の金額から控除します。
 経常所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得および雑所得をいいます。
 譲渡所得の金額の計算上生じた損失は、これをまず一時所得から控除します。
 この場合において、なお控除しきれない損失の額があるときは、これを譲渡所得の金額および一時所得の金額から順次控除します。この場合、譲渡所得の金額のうちに短期譲渡所得と長期譲渡所得がある場合には短期譲渡所得からまず控除することになります。
 前述の場合において、なお控除しきれない損失の額があるときは、これを経常所得から控除します。この場合、経常所得のうちに分離課税の超短期所有土地等に係る事業所得等の金額と土地等に係る事業所得等の金額がある場合には、まずこれから控除します。
 これによってもなお控除できない損失の金額があるときは、これをまず山林所得の金額から控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときには退職所得の金額から控除します。
 山林所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、これをまず経常所得の金額から控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは、譲渡所得の金額および一時所得の金額から順次控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは退職所得から控除します。この場合、経常所得のうちに分離課税の超短期所有土地等に係る事業所得等の金額と土地等に係る事業所得等の金額がある場合には、まずこれから控除します。
 生活に通常必要でない資産から生ずる所得が赤字になった場合
 生活に通常必要でない資産の所得の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額から控除することはできません。
 ただし、競走馬(事業と認められる用に供されるものを除く)の譲渡に係る譲渡所得の計算上生ずる損失の金額がある場合は、その競走馬の保有に係る雑所得の金額から控除することができます。なお控除しきれない損失の金額があっても、その損失の金額は、生じなかったものとみなされます。
 株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額または雑所得の金額の計算上損失が生じた場合
 株式等の譲渡に係る事業所得の金額の計算上生じた損失株式等の譲渡に係る譲渡所得の金額および雑所得の金額から控除する。
 株式等の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失株式等の譲渡に係る事業所得の金額および雑所得の金額から控除する。
 株式等の譲渡に係る雑所得の金額の計算上生じた損失株式等の譲渡に係る事業所得の金額および譲渡所得の金額から控除する。
 ただし、上記所得の金額のうちに公開株式等に係る譲渡所得等の金額がある場合には、当該損失の金額はまず公開株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することになります。
 また、上記控除した後に、なお控除しきれない損失の金額があっても、その損失の金額は生じなかったものとみなされます。
 損益通算のできない損失の金額は配当所得、一時所得および雑所得の計算上生ずる損失の金額は、他の所得の金額から控除することはできません。
 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等の取得に係る借入金の利子の額に対応する金額については、他の所得との損益通算はできません。
 以前は、不動産所得全体が赤字の場合、その赤字の部分は、事業所得や給与所得等の他の所得の黒字と損益通算ができることになっていました。以後は原則として、損益通算はできるのですが、特別なケースは例外的に一定の金額について損益通算を認めないことになりました。
 不動産所得全体合計が赤字の場合、その赤字のうち賃貸不動産購入の際の借入金がある場合の土地部分の購入に対応する借入金の金利に相当する順については、損益通算が認められません。
 不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入した金額のうち不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地、または土地の上に存する権利(借地権等)を取得するために要した負債の利子の金額と、不動産所得の損失の金額とのいずれか少ない方の部分が損益通算が認められず、その損失はなかったものとみなされます。
 土地等を取得するために要した負債の利子とは、次のようにして求めます。
 土地取得借入金が明確に区分されている場合は、単純にその金利が土地取得負債利子となります。
 土地、建物の一括購入の場合は自己資金は土地取得に優先的に使われたとし、借入金は建物取得分に充当計算し、建物取得原価をオーバーする借入金が土地取得借入金として取り扱われます。
 純損失の繰越控除は確定申告書を提出する居住者の、その年の前年以前3年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る)において生じた純損失の金額がある場合には、その純損失の金額を当該確定申告書に係る年分の総所得金額、超短期所有土地等に係る事業所得等の金額、土地等に係る事業所得等の金額、短期譲渡所得の金額、長期譲渡所得の金額、退職所得の金額または山林所得の金額の計算上控除することになります。
 変動所得の金額の計算上生じた損失の金額および被災事業用資産の損失の金額。
 確定申告書を提出する納税者の、その年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額のうちに、変動所得の金額の計算上生じた損失の金額および被災事業用資産の損失の金額があるときは、これらの損失の金額をその年分の総所得金額、超短期所有土地等に係る事業所得等の金額、土地等に係る事業所得等の金額、短期譲渡所得の金額、長期譲渡所得の金額、退職所得金額または山林所得の金額の計算上控除することになります。
 雑損失の繰越控除は確定申告書を提出する納税者のその年の前年以前3年内の各年において生じた雑損失の金額は、当該申告書に係る年分の総所得金額、超短期所有土地等に係る事業所得等の金額、土地等に係る事業所得等の金額、短期譲渡所得の金額、長期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、退職所得金額または山林所得金額の計算上控除することになります。
 所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額および山林所得金額をいいますが、税額の計算にあたり、基礎控除その他の所得控除を行い、課税総所得金額、課税退職所得金額ならびに課税山林所得金額を計算します。
 所得控除の種類は雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業等共済掛金控除、生命保険料控除、損害保険料控除、寄付金控除、障害者控除、老年者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除。
 所得控除は、まず、雑損控除から行います。雑損控除が、その年分の総所得金額、退職所得金額および山林所得金額から控除しきれない場合は、その控除しきれない金額を翌年以降に繰越して翌年以降3年以内の各年分の所得金額から控除することになります。
 雑損控除以外の所得控除については、特に順序が定まっているわけではありません。その年分の総所得金額、退職所得金額および山林所得金額より所得控除の額が多いときは、課税所得金額は0円ということになります。
 所得控除は、総所得金額、山林所得、退職所得から順次差し引いていくことになります。

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