特定事業用資産の買替え特例

 この特定事業用資産の買換え特例制度は、原則として次の要件を満たした場合に適用されます。
 1. 譲渡資産、買換資産ともに事薬用資産であること。
 2. 譲渡資産は原則として譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるものであること。
 3. 譲渡資産の譲渡の態様が、収用交換等による譲渡、贈与、交換、出資および代物弁済以外の譲渡であること。
 4. 買換資産の取得の態様が、贈与、交換および代物弁済以外の取得であること。
 5. 譲渡資産および買換資産が、一定の区域内にある特定の資産で、特定の事業の用に供されているものであること。
 6. 買い換えた土地の面積が譲渡した土地の面積の5倍以内(一定の条件に該当する場合には10倍または30倍以内)であること。
 7. 買換資産は原則として譲渡資産を譲渡した年中、前年中、翌年中に取得し、取得した日から1年以内に事業の用に供すること。
 ここでは、これらの要件のうち、1.の事業用資産の事業用の範囲と、7.の取得期限および、事業の用に供した時期等について、もう少し詳しく説明することにします。
 事業用の範囲、事業用資産という場合の事業用の範囲には、その場所で事業を行って収入を得ている場合のように、一般に事業用資産といわれるもののほか、次に掲げる資産も含まれることとなります。
 1. 事業と称するに至らない不動産等の貸付け等で、相当の対価を得て継続的に行うものの用に供しているもの
 2. 生計を一にする親族の事業の用に供している資産
 3. 山林所得者の事業用資産
 4. 事業の用と事業以外の用とに併用されていた資産
 5. 事築上の貸付資産
 これらのうち、1.の判定においては、単に名目的な対価が支払われているだけでなく、貸付け等の用に供している資産の減価償却費の額、固定資産税の額、その他の必要経費を回収した後に、なお相当の利益が生じるような対価で、その貸付けが相当期間継続して行われることが予定されているかどうかによって判定されます。
 また、4.の併用されていた資産については、事業の用に供されていた部分がおおむね90パーセント以上である場合には、その資産の全部について特例の適用が受けられますが、それ以外の場合には、その事業の用に供されていた部分についてのみ特例の適用を受けることができ、その他の部分については、この特例は適用できませんので注意して下さい。
 そして、買換資産とすることができる資産についても、上記と同じ取扱いとなります。
 逆に、一時的に事業の用に供した資産、他人の事業用建物および構築物等の敷地の場合、空閑地等の場合には、事薬用資産には含まれず、よってこの特例の適用は受けることができません。また既成市街地等の内から外への買換えを適用する場合、譲渡資産は事務所もしくは事業所用の建物およびその敷地の用に供されている土地等で取得(同日後の相続等による取得を含みます。)されたものに限ります。
 買換資産の取得期限については、原則として、譲渡をした年かその翌年中または前年中ということになっていますが、次に掲げる場合はそれぞれ次に掲げる買換期間を延長することができます。
 1. 工場移転の場合等の取得時期、工場等の敷地の用に供するための宅地の造成や、その工場の建設または移転に要する期間が通常1年を超えると認められる事情、その他これに準ずるような事情があるため、譲渡した年の翌年12月31日までに買換資産の取得をすることが困難な場合は、譲渡の年の翌年以後2年以内の範囲で、税務署長の承認した日まで取得期限を延長することができます。
 この場合の、その他これに準ずるような事情とは、次のような事情をいいます。
(a)法令の規制等により、その取得に関する計画の変更を余儀なくされたこと
(b)売主その他の関係者との交渉が長引き、容易にその取得ができないこと
 (c)モの他、(a)または(b)に準ずる特別な事情があることそして、この取得期限の延長について税務署長の承認を受けようとするときは、買換資産の取得予定年月日、その承認を受けようとする日および工場建設等のため通常の取得期間内に取得することが困難であることについてのやむを得ない事情を詳細に記載して、原則として確定申告書を提出する際に併せて申清しなければならないこととなっています。
 このやむをえない事情というのは、一般に拡大解釈されがちですが、それほど甘いものではなく、例えば工事が遅れた事情としても、住民の反対で工事を中断せざるを得なかった等、それなりの理由が必要ですので、その点は計画の段階から十分注意しておく必要があります。
 2. 譲渡した年の前年中の取得、譲渡資産の譲渡の日の属する年の前年中に取得した資産については、その取得の日から1年以内に事業の用に供し、かつ、その買換え資産の取得を行った年の翌年3月15日までに「買換えのだめの先行取得資産である」旨および「譲渡予定資産の種類」を記載した届出書を所轄税務署長に提出した場合に限りこの特例の適用が認められます。そして、この場合においても、工場移転等その建設に要する期間が通常1年を超えると認められる事情その他譲渡資産についての次に掲げるような事情がある時は、譲渡の目の属する年の前年以前2年内において取得し、その取得の日から1年以内に事業の用に供した場合には、この特例が認められます。
 (a) 借地人または借家人が容易に立退きに応じないため譲渡ができなかったこと。
 (b) 譲渡するために必要な広告その他の行為をしたにもかかわらず容易に買手がつかなかったこと。
 (c) (a)または(b)に準ずる特別な事情があったこと。
 ただし、譲渡の日の属する年の前年以前に取得した買換資産について、措置法第10条第2項及び第3項等の規定による、特別償却等の適用を前年以前に受けている時は、その資産は買換えの特例の対象となる買換資産には該当しませんので、注意して下さい。
 買換資産を事業の用に供した日、買換資産を取得した日から1年以内に事業の用に供することという要件の、買換資産を事業の用に供した時期の判定については、措置法通達37条23により、以下のように判定されます。
 土地等
(a)新たに建物、構築物等の敷地の用に供するものは、その建物、構築物等を事業の用に供した日となります。ただし、その建物、構築物等の建設等に着手した日から3年以内に建設等を完了して事業の用に供することが確実と認められる場合には、その建設等に着手した日をもって事業の用に供した日とすることができます。
(b)既に建物、構築物等が存する土地等は、その建物、構築物等を事業の用に供した日となります。
(c)建物、構築物等の施設を要しない土地等については、その土地等をそのものの本来の目的のために使用を開始した日となります。
 建物、構築物、機械および装置、これらの資産については、そのものの本来の目的のために使用を開始した日となります。
 面積制限とは、土地等を買換資産として取得した場合に、その買換資産として取得した土地等の面積が譲渡した土地等の面積の5倍を超える時は、5倍を超える部分については、買換資産として認められない、ということです。
 ただし、市街化区域等外で取得する農業用の土地等および工業再配置法の誘致区域内の土地等は10倍以内、大規模畜産農業用の土地等は30倍以内と、面積制限が緩和されています。

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