土地収用の場合の課税の特例

 土地収用法等の法律に基づく公共事業の用に供するため資産を収用等された者に対しては、資産の譲渡が所有者の意思に関係なく公共の要請により行われるため、その資産の譲渡による所得についての税負担を軽減する課税の特例が設けられています。
 この特例は、「収用等の場合の課税の特例」といわれています。
 収用等の場合の課税の特例が認められる収用等による譲渡の範囲は、収用証明書の区分一覧表として示されています。極めて詳細かつ広範囲におよんでいますので注意して下さい。
 また、この課税の特例を受けるために、当該資産の買取をする者から受けなければならない証明書も、図表に記載されています。
 補償金等で代替資産を取得した場合、収用等された資産(棚卸資産を除く)の対価たる補償をもって、収用等された資産と同種の資産を取得した場合には、その代替資産の取得に要した金額について、課税の繰延べが認められます。
 ただし、収用等による補償金であっても、その内容により、税務上の取扱いが異っています。
 課税される譲渡所得は、次のようにして計算されます。
 補償金等の額から譲渡費用を控除した金額が代替資産の取得価額より少ない場合及び同額である場合、
 この場合には、資産の譲渡はなかったものとされます。
 補償金等の額から譲渡費用を控除した金額が代替資産の取得価額を超える場合、
 この場合には、譲渡資産の取得費に、その譲渡資産に係る補償金等の額からその代替資産の取得価額等を控除した金額が、その補償金等の額のうちに占める割合を乗じた金額だけ譲渡があったものとされます。
 土地等の資産の収用等のあった年中または収用等のあった日から2年以内に、収用等された資産と同種類の資産等を代替資産として取得した場合または取得する見込みで税務署長の承認を受けた場合には、収用等された資産の補償金の額が、代替資産の取得価額または税務署長の承認を受けた取得価額の見積額以下であったときは、課税の繰延べがなされ譲渡がなかったものとして課税されません。
 なお、代替資産とは、原則として収用等された資産と同種の資産であることを要件としています。同種の資産の区別は、次のように分けられています。
 土地(土地の上に存する権利を含む)、建物(その附属設備を含む)や建物に付属する構築物、上記以外の構築物、その他の資産で収用等された資産と種類や用途が同じ資産特例として、一組法及び事業継続法も認められています。
 一組法では、代替資産の範囲は収用等により譲渡した資産が、資産区分の異なる二つ以上の資産で一つの効用を有する―組の資産となっているものについては、それと同じ効用を有する他の資産をもって、その譲渡資産のすべての代替資産とすることができます。
 しかし、一組の資産として取り扱われる資産は、次の用途に供されるものだけに限られています。
 居住の用、店舗や事務所の用、工場や発電所または変電所の用、倉庫の用、
 このほか、劇場の用、運動場の用、遊戯場の用、その他これらの用の区分に類する用、一組の資産が「居住の用」と「店舗や事務所の用」とに併用されているものは、そのいずれもの用途に供されているものとされています。
 事業継続法では、収用等により譲渡した資産が、その人の営む事業の用に供されていたものである場合には、譲渡した資産と異なる種類の資産を取得しても、事業の用に供するものであれば、その異なる種類の資産を譲渡した資産の代替資産とすることができます。
 交換処分等に伴い代替資産を取得した場合、土地等の資産(棚卸資産等も含まれる。)が収用等されて補償金等の代わりに収用等された資産と同種類の資産を代替資産として収用事業の施行者から取得した場合、あるいは交換取得資産のほかに補償金を取得した場合については、課税の繰延べが認められます。
 交換処分等の場合の、具体的な課税関係は次のとおりです。
 代替資産(交換取得資産)だけを取得した場合、資産の譲渡は、なかったものとされます。
 交換取得資産のほかに補償金等を取得した場合、この場合、その補償金でさらに代替資産を購入するケースと購入しないケースとがあります。
 補償金でさらに代替資産を購入しない場合、その補償金の部分のみ譲渡があったとされます。
 補償金でさらに代替資産を購入する場合、交換取得資産に対応する部分は譲渡がなかったこととされ、補償金等で代替資産を取得した場合の課税の特例が補償金について適用されます。
 換地処分等により資産を取得した場合、土地区画整理事業等に基づく換地処分等により資産に換地等があった場合に、換地等の対象となった資産(棚卸資産も含まれる。)の譲渡はなかったものとみなされます。しかし、換地等とともに補助金等を受けた場合には、換地処分等により譲渡した資産のうち、補償金等の額に相当する部分について譲渡があったものとされます。
 収用交換等により、最初に買取り等の中出を受けた日から6か月以内に譲渡された場合で、同一年中に収用等により譲渡した資産のすべてについて、代替資産取得や交換処分の特例の適用を受けない場合には、譲渡所得の金額から年間を通じて、5000万円を限度とする特別控除が認められます。

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