相続財産の譲渡と課税

 相続税の課税の対象となった相続財産を、相続または遺贈により取得した後の一定の期間内に譲渡した場合の譲渡所得の計算については、譲渡した資産について課税された相続税額に相当する金額を、その譲渡した資産の取得費に加算して、その資産の譲渡所得金額の計算上控除することができます。
 相続等により取得した資産を譲渡した場合において、その資産の譲渡所得の金額の計算上控除する取得費に加算する金額は算式により計算されます。
 その者の納付すべき相続税額は、原則として、相続により取得した財産を譲渡した年分の所得税の納税義務の成立する時に確定している額をいいます。しかし、譲渡の日の属する年の12月31日以後に相続税の申告書の提出期限が到来するときは、提出期限内に申告書の提出があったときは、その申告書の提出の時において、確定した相続税額によります。
 また、その確定した相続税額が、修正申告書の提出、更正等により異動があった場合には、その異動後の相続税額によります。
 なお、次の場合にはこの特例の適用はありません。
 譲渡した日の属する年の12月31日までにその相続税の申告書の提出期限が到来しているとき、12月31日に確定している税額がなく、その後に期限後申告書の提出または決定等により税額が確定した場合。
 譲渡した日の属する年の12月31日までにその相続税の申告書の提出期限が到来していないとき、期限内申告書の提出がなく、その後に期限内申告書の提出または決定等により税額が確定した場合。
 相続税の課税価格の計算の基礎に算入された資産で、その相続等に係る被相続人の死亡の日の翌日からその相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡された資産について、この特例の適用が受けられます。この場合の資産の対象範囲は次のとおりです。
 相続により取得したものとみなされた農地等、相続等により財産を取得した者が、その相続等の被相続人から、相続開始前3年以内に贈与を受けた財産、棚卸資産、準棚卸資産である土地等の価額に対応する相続税、額は取得費加算の特例対象となりません。
 所得税の納税義務の成立する時点において、物納済である土地等や物納申請中である土地等については、取得費加算の対象から除外されますが、その後において、物納の撤回、物納申請の却下、取下げ、物納物件の差替え等により譲渡所得税の増減がある場合には取得費加算の対象とされる相続税額に係る課税価格についてはその後の異動を踏まえた後の課税価格によります。ただし、相続(限定承認をしたものに限ります。)または包括遺贈(限定承認をしたものに限ります。)により取得した財産については、被相続人または遺贈者について、所得税法第59条第1項の規定により時価で譲渡したものとみなされ所得税が課税され、かつ、その所得税は相続税の課税価格の計算上被相続人の債務として控除されていることにより、所得税と相続税の負担の調整は済んでいますので、この特例の適用は受けられません。
 なお、この特例の適用が受けられるのは、相続税の課税価格の計算の基礎に算入された資産そのものを譲渡した場合に限られるのですが、その資産について土地区画整理法による土地区画整理事業、新都市基盤整備法による土地整理、大都市法による住宅街区整備事業、土地改良法による土地改良事業、農用地整備公団法第19条第1項第1号イ(業務の範囲)の事業または都市再開発法による市街地再開発事業が施行された場合において取得した換地取得資産・変換取得資産または対質取得資産の譲渡については、その実質が従前の資産と同一となりますから特例適用対象資産とされます。

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