法人の土地建物等譲渡の課税

 法人が土地建物等を譲渡した場合、その譲渡対価の額が益金の額に算入され、その譲渡原価および譲渡に要した経費が損金の額に算入されることによって、譲渡に伴って生じる所得について法人税が課税されることになります。
 しかし、土地建物等の譲渡には、所有者の意思に基づかない収用などの、公共事業の推進のためのやむを得ない場合等各種の要請によるもの、事業の継続性を配慮する必要性があるもの等特殊な事情を有し、かつ、政策的にも特別の配慮を要する場合等がみられることから、いくつかの特例措置を講じて課税の繰延べ、または軽減、もしくは重課を図る規定が設けられています。また、これらの特例措置は特に政策的配慮により、しばしば改正が行われており、改正事項には特に注意を払う必要があります。
 資産の譲渡とは、売買のほか、贈与、交換、強制収用等も含まれます。すなわち、贈与は無償譲渡であり、交換はその実質は譲渡行為と譲受行為との混合取引行為であり、強制収用は、公権力による売渡行為といえます。またこのほか、新たな権利の創設をもって対価を取得する場合、すなわち、土地について地上権または賃借権を設定する場合も譲渡に含まれます。 したがって、土地、建物等の譲渡に当たってはその形態に応じ、事前にその課税上の各種規定を承知し、税負担に配慮して実行することが大切です。
 そこで、法人が所有する土地、建物等を譲渡した場合に、その譲渡の形態によって課税上の取扱いがどのようになるのか簡単に説明します。
 一般の譲渡の場合、譲渡対価が益金の額に、また、その譲渡原価(帳簿価額)が損金の額に、それぞれ算入されます。
 低額で譲渡した場合、譲渡対価が益金の額に算入され、その土地、建物等の時価と譲渡対価との差額については寄付金(税務上はその性格に応じ役員賞与、役員退職金、従業員賞与等となる場合があります。)として所得金額が計算され、また、その譲渡原価が損金の額にそれぞれ算入されます。
 無償で譲渡した場合、その譲渡した土地、建物等の時価相当額が寄付金(税務上はその性格に応じ役員賞与、役員退職金、従業員賞与等となる場合があります。)として所得金額が計算されます。
 交換により譲渡をした場合、一定の要件に当たる土地、建物等を等価交換により譲渡した場合には、いわゆる圧縮記帳の特例が認められます。
 収用等により譲渡した場合、土地、建物等を収用等により譲渡した場合には、その選択により、いわゆる圧縮記帳の特例または所得金額からの5000万円の特別控除のいずれかが認められます。
 特定事業の用地買収等により譲渡した場合、土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合には、所得金額から年2000万円の特別控除が認められます。
 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合には、所得金額から年1500万円の特別控除が認められます。
 農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合には、所得金額から年800万円の特別控除が認められます。
 特別税率が適用される土地等の譲渡があった場合、他の者から取得した土地等を譲渡した場合、その譲渡利益について、その土地等の所有期間に応じて通常の法人税のほかに特別の税額が加算されます。
 土地建物等の譲渡による収益の計上時期について、会計直行上考えられる方法としては、所有権移転の時点、現実に占有権の移転が行われる時点、譲渡の当事者の権利移転が確認できる時点、譲渡代金の相当部分を収受した時点、譲渡契約を締結した時点等が考えられますが、税務上は、これらを会社の判断に委ねる余地を残しながら、いわゆる引渡基準を採用し、土地・建物等の譲渡による収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しのあった日の属する事業年度の益金の額に算入します。
 しかしながら、会社がその譲渡による収益の額を譲渡契約の効力発生の日に属する事業年度の益金の額に算入したときは、この処理が認められます。
 また、土地または土地の上に存する権利(借地権など)を譲渡する場合に、その引渡しの日がいつであるのか明らかでないときは、次の日のうち、いずれか早い目にその引渡しがあったものとして処理することも認められます。
 代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日、所有権移転登記の申請(その登記の申清に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日。

copyrght(c).土地不動産の有効活用の実務.all; rights; reserved

土地不動産の有効活用の実務
都市計画法
建築基準法
土地区画整理法
大都市法と宅地造成規制法
農地法と生産緑地法
土地収用法
国土利用計画法と不動産売買
土地の届出制
土地取引の監視区域
遊休土地に関する規制
宅地建物取引業者
不動産登記制度
中間省略登記と問題点
不動産売買契約書
区分所有権
区分所有建物と登記
区分所有建物の登記
敷地権設定マンションの税法上の特例
借地借家法の成立
借地権
普通借地権
定期借地権
建物増改築承諾料と借地条件変更承諾料
借地権の譲渡と転貸承諾料
借地の更新料
借家権
被災建物に係る借地権
被災建物に係る借家権
借地権の譲渡に係わる課税
借地権の設定に係わる課税関係
借地権の設定に際し権利金の授受をしない場合の課税
借家権に係わる税金
登録免許税と不動産取得税
特別土地保有税
事業所税
固定資産税
固定資産税の軽減措置
都市計画税
地価税
土地の評価
不動産所得の計算
損益通算
青色申告
減価償却
優良賃貸住宅の割増償却
新築貸家の割増償却
支払利息の費用性
土地建物の一括取得の区分計算
定期借地権に係る保証金に対する課税
相当の地代
土地購入て_の仲介業者に支払った手数料と付随費用
支払利息の取扱
圧縮記帳と償却計算
法人税の特例圧縮記帳
土地建物の一括取得の区分計算
新規取得土地等の負債利子の取扱特例
社宅収入と適正賃料
所得税の全体的計算方法
譲渡所得税のあらまし
譲渡収入
資産の取得費
土地建物の譲渡所得の特例
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
居住用財産の譲渡所得の特別控除
相続等により取得した居住用財産の買替え特例
特定の居住用財産の買替え特例
居住用財産の買替えの場合の譲渡損失の繰越控除
特定事業用資産の買替えの特例
特定事業用資産の買替え特例
特定事業用資産の買替特例を受けるための申告
固定資産の交換の特例
土地区画整理事業に土地を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除
住宅造成事業者に譲渡の特例
土地収用の場合の課税の特例
相続財産の譲渡と課税
保証債務の履行と譲渡
保証債務の特例
競売・代物弁済と譲渡
土地建物の譲渡事業所得、雑所得になる場合
消費税の納税義務者
法人の土地建物等譲渡の課税
土地の譲渡益に対する重課税
土地重課税制度の主な留意事項
土地建物の譲渡と課税上の特例
固定資産を交換した場合の課税の特例
土地収用の課税の特例
特定資産の買替えの課税の特例
事業用地の土地の交換による課税
法人の土地建物の譲渡と消費税
不動産M&A
土地類似有価証券の定義
株式売却の課税
不動産M&Aの売主側の利点
不動産M&Aの買主側の利点
M&A売買交渉
M&A契約
相続税と不動産の有効活用
土地宅地の評価
宅地の利用区分に応した評価
不動産購入による債務控除の利用
小規模宅地の評価減特例
自然発生借地権
使用貸借とは
使用貸借の税務関係
使用転貸借の場合
相続税の延納と物納
都市計画の目的と基本理念
開発許可制度
第一種市街地再開発事業の測量と調査の手順
土地区画整理事業とは
借地借家法の狙い
借地期間を定めない場合
借地契約解除をする際の地主の留意点
建物を賃借するときの法律
家主の変更と借家権の承継
借家権の相続
抵当権設定後の土地の短期賃借人に建物買取請求権は認められるか
建物の二重賃借人間の優先関係の判断基準
境界とは
家屋を新築するときは、境界からどれだけ離すべきか
通行地役権を設定するには
分譲マンションの共用部分の修繕費用の分担