土地の譲渡益に対する重課税

 土地等の譲渡がある場合の特別税率の制度は昭和48年度の税制改正において創設されたものですが、その目的は、昭和46年以降の従来に例をみないような金融緩和を背景として、法人の土地取得が顕著となるに従い、法人の土地投資の抑制を緊急に解決すべき社会的な要請に基づくものでした。
 このような背景のなかで創設された土地譲渡益重課制度は、土地投機の抑制のためには有効である反面、土地の供給に対して抑止的に働く面(その販売価格が適正である等一定の要件を満たす優良宅地を供給する場合には、土地譲渡益重課の適用除外とする途が設けられています。)もありました。
 この制度の対象となる法人は、法人税の納税義務がある法人です。したがって、普通法人や特別法人のほか、公益法人等や人格のない社団等で収益事業を営むものにも課税されます。もっとも、公益法人等と人格のない社団等の場合は、その土地譲渡等が収益事業に属するものである場合にのみ課税されます。
 重課の対象の基本は土地の譲渡益ですが、これには土地の売買益という典型的なもののほか、株式の譲渡益や土地売買の仲介手数料のうち実質的に土地の譲渡益と認められるもの等を含めることとしています。すなわち、重課対象となる行為は、次のとおりです。
 土地等の譲渡、国内の土地等(土地および土地の上に存する権利)の譲渡。ただし、短期所有土地譲渡益重課制度においては、「他の者から取得した」土地等の譲渡に限られます。なお、これには、次のものも含まれます。
 a 借地権の設定
 他の者から取得した国内の土地に係る借地権の設定で、法人税法上、土地の譲渡として取り扱われるもの(地価の低落割合が2分の1以上になる借地権の設定)
 b 仲介取引
 土地の売買等の仲介報酬を受ける行為で土地等の譲渡に準ずると認められるもの(宅建業法の仲介報酬限度を超える報酬を受けるもの)
 株式の譲渡、その有する資産が主として土地等である法人の株式の譲渡で土地等の譲渡に類するもの
 組織変更に伴う評価益の計上、法人の組織変更に伴う土地等に係る評価益の計上
 合併による増額受入れ被合併法人の土地等を合併により受け入れた場合の合併法人による帳簿価額の増額受入れ
 残余財産の確定、清算中の法人の残余財産のうちに土地等がある場合のその残余
 土地等の譲渡益に対する重課税制度においては、棚卸資産に該当する土地等の譲渡のほか、一定の要件を満たす譲渡を重課税制度から除くこととされています。具体的には、土地等の譲渡のうち適用除外となる譲渡は次に掲げる譲渡です。
 なお、適用除外の措置を受けるためには、適用除外に該当する旨の証明が必要であり、適用事業年度の確定申告書等に所定の証明書類を添付しなければなりません。
 1. 国、地方公共団体等に対する土地等の譲渡
 2. 住宅、都市整備公団等の行う住宅建設または宅地造成の用に供するための土地等の譲渡(一定の被災土地を含む)
 3. 収用換地等による土地等の譲渡
 4. 都市再開発法による第一種市街地再開発事業の施行者の行うその事業の用に供するための土地等の譲渡
 5. 建築面積が150平方メートル以上である建築物の建築をする事業(施行地区面積が500平方メートル以上であること等一定の要件を満たすもの)の用に供するための市街化区域内または未線引都市計画区域のうち用途地域が定められている区域内の土地等の譲渡
 6. 特定民間再開発事業の用に供するための土地等の譲渡
 7. 一団の宅地の造成(一団の宅地の面積が1000平方メートル以上であること等一定の要件を満たすもの)を行う者に対する土地等の譲渡
 8. 大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法の国土交通大臣の認定および都市計画法の開発許可を受けて行う個人または法人の宅地開発事業の用に供するための土地等の譲渡
 9. 都市計画法の開発許可を受けて行う個人または法人の一団の住宅地造成の用に供するための土地等の譲渡
 10. 都市計画区域内の宅地の造成につき、開発許可を要しない場合において、個人または法人が造成する面積が1000平方メートル(都市計画法施行令第19条第2項の規定の適用を受ける区域内の当該一団の宅地の面積にあっては、500平方メートル)以上の一団の住宅地の用に供するための土地等の譲渡
 11. 都市計画区域内において個人または法人の行う25戸以上の一団の住宅または15戸もしくは延床面積1000平方メートル以上の中高層耐火共同住宅の建設の用に供するための土地等の譲渡
 12. 個人または法人に対する土地区画整理事業の施行地区内の土地等の譲渡で仮換地指定日から3年を経過する日の属する年中までに一定の住宅または中高層耐火共同住宅の建設の用に供するための土地等の譲渡
 短期所有土地譲渡益重課における適用除外となる譲渡
 (1)国または地方公共団体に対する土地の譲渡
 (2)住宅・都市整備公団、土地開発公社等に対する土地の譲渡でその住宅等の供給業務に直接必要なもの
 (3)収用換地等による土地の譲渡
 (4)都市計画法の開発許可を受けて行う1000平方メートル以上の造成団地の譲渡(適正価格、公募要件等を満たすもの)
 (5)都道府県知事の優良宅地供給の認定を受けて行う1000平方メートル以上の造成団地の譲渡(適正価格、公募要件を満たすもの)
 (6)都道府県知事の瓢財部謳粉の認定を受け-(行う1000平方メートル以上の建売住宅または売建住宅の敷地の用に供される宅地の譲渡(適正価格、公募要件等を満たすもの)
 (7)市町村長等の優良宅地供給の認定を受けて行う1000平方メートル未満の造成宅地の譲渡(適正価格要件を満たすもの)、市町村長等の誘致認定を受けて行う1000平方メートル未満の建売住宅または売建住宅の敷地の用に供される宅地の譲渡(適正価格要件を満たすもの)
 (8)宅地建物取引業者である法人の行う個人住宅敷地の転売行為で適正報酬による土地等の売買の仲介行為に類するもの
 (9)土地等の贈与による譲渡で、国等に対する寄付金または指定寄付金に該当するもの
 土地譲渡利益金額の計算、計算のあらまし
 この重課制度の課税標準ともいうべき譲渡利益金額は、次の算式により計算したものによることとされています。
 譲渡対価-(譲渡原価十直接または間接に要した経費)=譲渡利益金額
 直接または間接に要した経費=
 負債利子+販売費及び一般管理費
 この譲渡利益金額の計算は土地等の所有期間のグループごとに、かつ、土地等の譲渡ごとに行い、所有期間のグループ単位で、グループの中での損益を通算し、譲渡利益金額の合計額を算出します(すなわち、所有期間グループ内では譲渡損失は他の譲渡利益と相殺します。)。

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