土地建物の譲渡と課税上の特例

 一定の事実の発生によって取得した金銭等で一定の資産を取得した場合には、その取得した資産の取得価額について、本来課税の対象となるべき利益相当額だけを減額させる、つまりその額だけ圧縮して記帳し、その圧縮順に相当する金額は損金の額に算入することができることとして、その一定の事実によって生ずる収益について課税しないこととしています。このような経理を圧縮記帳といっています。
 圧縮記帳は、本来課税の対象となる利益に対して、直ちに課税するのが適当でない場合または租税政策上の優遇措置として課税しないことが相当である場合に認められている制度です。しかしながら、圧縮記帳は、資産の取得価額を譲渡利益などに相当する額だけ減額して記帳しますから、その取得価額を将来譲渡した場合には、その際圧縮相当額が利益として表現されますし、その取得資産が減価償却資産である場合には、それに係る減価償却費が将来にわたり少なく計算される、すなわちその過少分だけが利益としてはね返りますので、いわゆる課税の繰延べの制度であるとされています。
 圧縮記帳が認められるものとしては、次のようなものがあります。
 国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮記帳、工事負担金で取得した固定資産等の圧縮記帳、非出資組合が賦課金で取得した固定資産等の圧縮記帳、保険金等で取得した固定資産等の圧縮記帳、交換により取得した資産の圧縮記帳、特定の現物出資により取得した有価証券の圧縮記帳、農用地利用集積準備金を取り崩して取得した農用地等、収用等により取得した資産、換地処分等に伴い取得した資産、特定の資産の買換え等により取得した資産、特定の交換分合により取得した土地等、大規模な住宅地等造成事業の施行区域内にある土地等の造成のための交換等により取得した宅地、鉱工業技術研究組合等が賦課金で取得した試験研究用資産、転廃業助成金等で取得した固定資産等、日本固有鉄道清算事業団特別債券等との交換により取得した特定株式等。
 公共の利益となる事業あるいは公共の福祉の増進などのために必要がある場合には、土地収用法その他の法令の規定によってその事業等に必要な資産が強制的に収用され、または収用等を前提とした買収が行われることがあります。このように、収用等による譲渡が会社自らの意思による譲渡でなく、また、その譲渡によって代りの資産を取得しなければならない場合があるときに、一般の譲渡の場合と同様に譲渡資産の譲渡利益に課税することは適当でなく、このため、収用等による譲渡について、一定額の範囲内までは損金の額として所得を控除することができる方法、すなわち、特別控除による非課税の方法が設けられています。
 そこで、収用事業又は収用周辺事業のために土地、建物等の資産を譲渡した場合の課税の特例について、現行制度を簡単に取りまとめてみると、次のようになります。
 また、収用等による譲渡については、特別控除の方法のほかに、譲渡対価で一定の代替資産を取得したときは、代替資産の取得価額を圧縮してその圧縮した額を損金経理により損金に算入する、いわゆる圧縮記帳の制度も設けられています。

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