固定資産を交換した場合の課税の特例

 固定資産のように本末長く会社の事業の用に供される資産を同種類の資産と交換し、交換後も同じ用途に供している場合には、同一の資産が継続して保有されていると考えるのが適当と考えられます。
 そこで、一定の要件を充足した交換の場合には、交換により取得した資産の価額を従前の資産の帳簿価額まで圧縮して、将来交換により取得した資産を譲渡したときに課税の対象とする、いわゆる課税の延期をすることによって、交換のときにおける資産の譲渡益は課税の対象としないこととしているのが、交換の場合の課税の特例の主旨です。
 そこで、この交換の特例が認められる要件を次に説明します。
 1年以上所有していた資産であること譲渡資産は、法人が1年以上所有していた固定資産で、次の種類のものであることとされています。
土地、土地には、建物または構築物の所有を目的とする地上権および賃借権並びに農地法第2条第1項に規定する農地の上に存する耕作権を含みます。ただし、借地権は、自然発生借地権(税法上)や事実上の借地権がありますが「無償返還の届出」が出されていないことを確かめて下さい。これが提出されていると借地権が仮に民法上、借地法、借地借家法上存在していても税法上ないものとされます。
 建物、建物には、建物に附属する設備および構築物を含みますが、これら附属する設備等は建物と一体で交換するときだけ交換の特例が受けられます。
 機械および装置、船舶、鉱業権、鉱業権には、租鉱権および採石権その他土石を採掘し、または採取する権利を含みます。
 使用目的で所有する資産であること、交換により取得した資産は、その交換の相手が1年以上所有していたものであることが必要です。この1年以上所有していた資産については、法人が使用する目的で所有しているものをいいますから、不動産業者が販売を目的として所有している土地、建物等は該当しません。
 交換のために取得した資産でないこと、取得資産が、その交換の相手方において交換のために取得したと認められるときは交換の特例による圧縮記帳はできません。これは、交換の相手方が交換資産の取得から交換までの期間、また、固定資産として使用した事実、使用目的等および相手方の業種、業態等の関係により交換のために取得した資産か否かを判定することになります。したがって、相手の確認すべきことは
 1年以上取得していること(登記簿等で確認している)、交換のために取得したものでないこと。
 なお借地権等の交換にあたっては、民法上、借地借家法上借地権が存在していても税務署へ「無償返還の届出」を出していないことが要件の1つです。
 同種類の資産の交換であること、交換による取得資産については、それが譲渡資産とそれぞれ種類が同じものであることを要します。
 交換差額のある場合、交換のときにおける取得資産の価額と譲渡資産の価額の差額が、これらの価額のうち、いずれか高い方の価額の2割に相当する金額を超えないことが必要で、これを超えた場合には適用されません。
 この2割を超えるかどうかについては、その取得資産の価額および譲渡資産の価額は交換のときにおける時価によるものと解されます。また、この差額については、金銭あるいは他の資産の授受の有無にかかおりなく、この規定は適用されます。
 同一の用途に供すること、交換により取得した資産については、これを譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供しなければなりません。
 例えば土地にあっては、その現況により、宅地、田畑、鉱泉地、沼池、山林、牧場または原野、その他区分、建物にあっては、居住の用、店舗または事務所の用、工場の用、その他の用の区分により判定することになります。
 また、同一の用途に供する時期は、取得資産をその交換の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに譲渡資産の譲渡直前の用途と同一の用途に供さなければなりません。この場合に改造等を要するものであるときは、その提出期限までにその改造等の発注をするなどその改造等に着手し、かつ、相当期間内にその改造等を完了する見込みであることが必要です。
 圧縮記帳をすること、圧縮記帳の経理は、譲渡資産の交換の時における価額により譲渡益を計上するとともに、取得資産についても同様に交換の時における価額により取得価額に計上、その後に圧縮記帳による損金経理をすることになります。ただし、上記のような譲渡益または圧縮損の両建経理にかえ、交換によって取得した資産を直接減額して、その減額後の金額を取得価額として経理した場合でも、その経理が認められます。
 なお、圧縮記帳額を引当金勘定に繰り入れる方法、または利益処分により積立金として積み立てる方法による経理は認められませんのでご注意下さい。
 交換取得資産の圧縮額の損金算入の申告、交換差益の圧縮記帳は確定決算においてその経理を行うとともに法人税申告書の明細書の記載が必要です。なお、申告書の記載がない場合においても、圧縮記帳を確定決算において経理しているときは、税務署長がその記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めたときは、その圧縮額を損金の額に算入することとされています。

copyrght(c).土地不動産の有効活用の実務.all; rights; reserved

土地不動産の有効活用の実務
都市計画法
建築基準法
土地区画整理法
大都市法と宅地造成規制法
農地法と生産緑地法
土地収用法
国土利用計画法と不動産売買
土地の届出制
土地取引の監視区域
遊休土地に関する規制
宅地建物取引業者
不動産登記制度
中間省略登記と問題点
不動産売買契約書
区分所有権
区分所有建物と登記
区分所有建物の登記
敷地権設定マンションの税法上の特例
借地借家法の成立
借地権
普通借地権
定期借地権
建物増改築承諾料と借地条件変更承諾料
借地権の譲渡と転貸承諾料
借地の更新料
借家権
被災建物に係る借地権
被災建物に係る借家権
借地権の譲渡に係わる課税
借地権の設定に係わる課税関係
借地権の設定に際し権利金の授受をしない場合の課税
借家権に係わる税金
登録免許税と不動産取得税
特別土地保有税
事業所税
固定資産税
固定資産税の軽減措置
都市計画税
地価税
土地の評価
不動産所得の計算
損益通算
青色申告
減価償却
優良賃貸住宅の割増償却
新築貸家の割増償却
支払利息の費用性
土地建物の一括取得の区分計算
定期借地権に係る保証金に対する課税
相当の地代
土地購入て_の仲介業者に支払った手数料と付随費用
支払利息の取扱
圧縮記帳と償却計算
法人税の特例圧縮記帳
土地建物の一括取得の区分計算
新規取得土地等の負債利子の取扱特例
社宅収入と適正賃料
所得税の全体的計算方法
譲渡所得税のあらまし
譲渡収入
資産の取得費
土地建物の譲渡所得の特例
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
居住用財産の譲渡所得の特別控除
相続等により取得した居住用財産の買替え特例
特定の居住用財産の買替え特例
居住用財産の買替えの場合の譲渡損失の繰越控除
特定事業用資産の買替えの特例
特定事業用資産の買替え特例
特定事業用資産の買替特例を受けるための申告
固定資産の交換の特例
土地区画整理事業に土地を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除
住宅造成事業者に譲渡の特例
土地収用の場合の課税の特例
相続財産の譲渡と課税
保証債務の履行と譲渡
保証債務の特例
競売・代物弁済と譲渡
土地建物の譲渡事業所得、雑所得になる場合
消費税の納税義務者
法人の土地建物等譲渡の課税
土地の譲渡益に対する重課税
土地重課税制度の主な留意事項
土地建物の譲渡と課税上の特例
固定資産を交換した場合の課税の特例
土地収用の課税の特例
特定資産の買替えの課税の特例
事業用地の土地の交換による課税
法人の土地建物の譲渡と消費税
不動産M&A
土地類似有価証券の定義
株式売却の課税
不動産M&Aの売主側の利点
不動産M&Aの買主側の利点
M&A売買交渉
M&A契約
相続税と不動産の有効活用
土地宅地の評価
宅地の利用区分に応した評価
不動産購入による債務控除の利用
小規模宅地の評価減特例
自然発生借地権
使用貸借とは
使用貸借の税務関係
使用転貸借の場合
相続税の延納と物納
都市計画の目的と基本理念
開発許可制度
第一種市街地再開発事業の測量と調査の手順
土地区画整理事業とは
借地借家法の狙い
借地期間を定めない場合
借地契約解除をする際の地主の留意点
建物を賃借するときの法律
家主の変更と借家権の承継
借家権の相続
抵当権設定後の土地の短期賃借人に建物買取請求権は認められるか
建物の二重賃借人間の優先関係の判断基準
境界とは
家屋を新築するときは、境界からどれだけ離すべきか
通行地役権を設定するには
分譲マンションの共用部分の修繕費用の分担