土地取引の監視区域

 土地取引の届出制は、大規模な土地取引を規制し、その波及効果により適正かつ合理的な地価水準の形成を図ろうとするものです。しかし、昭和50年代後半から地価が急激に上昇しはじめた東京をはじめとする大都市圈の商業地等においては、全土地取引件数に占める届出対象土地取引件数の比率が全国平均に比べ著しく低く、届出制の所期の目的が十分達成されていないことが問題となりました。
 そこで、届出対象面積に満たない小規模な土地についても届出の対象とし、届出制の趣旨が十分生かされるよう、昭和62年に、監視区域制度が創設されました。
 土地取引の届出制が強化される監視区域の指定要件は、(a)地価が急激に上昇し、または上昇する恐れがあること、および、(b)地価の急激な上昇等によって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められること、の2つの要件を満たす区域であることです(国土法27の2)。
 具体的には、当該地域における従来からの地価の趨勢、社会経済情勢等を勘案し、実態に即して判断することになりますが、その判断の際の具体的な指標として、下記の事項が考えられます。
1. 地価公示地点等の地価動向の推移
2. 土地取引(ことに法人の土地取引)件数の推移
3. 貸出金利の動向、不動産取引関連融資の実績の推移
4. 開発プロジェクトおよびリゾート整備等の計画の有無および実施状況等
 都道府県知事は、監視区域を指定する場合には、当該区域において土地に関する権利の移転または設定の届出を要する面積の限度を、土地利用審査会および関係市町村長の意見を聴いて、都道府県の規則で引き下げるものとしています(国土法27の3)。
 届出対象面積の引下げについては、基本的には、(a)監視区域における面積規模別の土地取引状況)届出対象となる土地取引に対する指導勧告等が全取引に及ぼす影響、(c)都道府県および市町村の事務処理能力等を勘案して実効ある届出制の運用が可能となるよう定めることが適当です。
 法改正により、都道府県知事は、監視区域に所在する土地の取引について届出があった場合に、「その土地が1年以内に自らの利用等に供されることなく実害者以外の者に転売されるとき」に該当するかどうかを審査し、勧告ができることとなっています(国土法27の4)。
 この規定は、地価高騰に拍車をかける投機的取引を抑制し、よって需給関係の改善を図ろうとするものです。
 都道府県知事は、監視区域を指定した場合には、当該区域を含む周辺の地域における地価の動向、土地取引の状況等を把握するため、これらに関する調査を行わなくてはなりません。
 さらに、この調査を適正に行うため必要があると認めるときは、監視区域内に所在する土地について土地売買等の契約をした者(届出をしたものを除に対し当該契約等について報告を求めることができます(国土法27の5)。
 届出を必要とする土地売買等の範囲や、届出後の審査内容等は一般の届出制の下の届出とまったく同一です。

copyrght(c).土地不動産の有効活用の実務.all; rights; reserved

土地不動産の有効活用の実務
都市計画法
建築基準法
土地区画整理法
大都市法と宅地造成規制法
農地法と生産緑地法
土地収用法
国土利用計画法と不動産売買
土地の届出制
土地取引の監視区域
遊休土地に関する規制
宅地建物取引業者
不動産登記制度
中間省略登記と問題点
不動産売買契約書
区分所有権
区分所有建物と登記
区分所有建物の登記
敷地権設定マンションの税法上の特例
借地借家法の成立
借地権
普通借地権
定期借地権
建物増改築承諾料と借地条件変更承諾料
借地権の譲渡と転貸承諾料
借地の更新料
借家権
被災建物に係る借地権
被災建物に係る借家権
借地権の譲渡に係わる課税
借地権の設定に係わる課税関係
借地権の設定に際し権利金の授受をしない場合の課税
借家権に係わる税金
登録免許税と不動産取得税
特別土地保有税
事業所税
固定資産税
固定資産税の軽減措置
都市計画税
地価税
土地の評価
不動産所得の計算
損益通算
青色申告
減価償却
優良賃貸住宅の割増償却
新築貸家の割増償却
支払利息の費用性
土地建物の一括取得の区分計算
定期借地権に係る保証金に対する課税
相当の地代
土地購入て_の仲介業者に支払った手数料と付随費用
支払利息の取扱
圧縮記帳と償却計算
法人税の特例圧縮記帳
土地建物の一括取得の区分計算
新規取得土地等の負債利子の取扱特例
社宅収入と適正賃料
所得税の全体的計算方法
譲渡所得税のあらまし
譲渡収入
資産の取得費
土地建物の譲渡所得の特例
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
居住用財産の譲渡所得の特別控除
相続等により取得した居住用財産の買替え特例
特定の居住用財産の買替え特例
居住用財産の買替えの場合の譲渡損失の繰越控除
特定事業用資産の買替えの特例
特定事業用資産の買替え特例
特定事業用資産の買替特例を受けるための申告
固定資産の交換の特例
土地区画整理事業に土地を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除
住宅造成事業者に譲渡の特例
土地収用の場合の課税の特例
相続財産の譲渡と課税
保証債務の履行と譲渡
保証債務の特例
競売・代物弁済と譲渡
土地建物の譲渡事業所得、雑所得になる場合
消費税の納税義務者
法人の土地建物等譲渡の課税
土地の譲渡益に対する重課税
土地重課税制度の主な留意事項
土地建物の譲渡と課税上の特例
固定資産を交換した場合の課税の特例
土地収用の課税の特例
特定資産の買替えの課税の特例
事業用地の土地の交換による課税
法人の土地建物の譲渡と消費税
不動産M&A
土地類似有価証券の定義
株式売却の課税
不動産M&Aの売主側の利点
不動産M&Aの買主側の利点
M&A売買交渉
M&A契約
相続税と不動産の有効活用
土地宅地の評価
宅地の利用区分に応した評価
不動産購入による債務控除の利用
小規模宅地の評価減特例
自然発生借地権
使用貸借とは
使用貸借の税務関係
使用転貸借の場合
相続税の延納と物納
都市計画の目的と基本理念
開発許可制度
第一種市街地再開発事業の測量と調査の手順
土地区画整理事業とは
借地借家法の狙い
借地期間を定めない場合
借地契約解除をする際の地主の留意点
建物を賃借するときの法律
家主の変更と借家権の承継
借家権の相続
抵当権設定後の土地の短期賃借人に建物買取請求権は認められるか
建物の二重賃借人間の優先関係の判断基準
境界とは
家屋を新築するときは、境界からどれだけ離すべきか
通行地役権を設定するには
分譲マンションの共用部分の修繕費用の分担