不動産M&A

 M&AとはMerger and Acquisitionの略であり、企業の合併と買収という意味で、一言で企業買収ということもありますが、分かりやすくいえば、企業をまるごと売り買いすることです。
 M&Aを広義に解釈すると、企業間の業務提携や資本提携も入るわけですが、狭義に解して企業合併と企業買収に限るのが一般的です。
 企業合併には、合併する2つ以上の会社が消滅し新会社ができる新設合併と、既存の会社に1つ以上の会社が吸収され消滅してしまう吸収合併とがあります。
 企業買収には、買収会社が被買収会社の営業の一部または全部の譲渡を受ける営業譲渡方式、被買収会社の既に発行されている株式を取得して経営支配をする株式譲渡方式、被買収会社の株主割当や第三者割当、または転換社債等を発行したものを引き受け経営支配をする新株引受方式があります。
 今日の企業を取り巻く環境は、激しく変化しており、その変化に素早く対応する手段としてM&Aが急速に必要となってきています。
 我が国の生産市場は、モノがあり余る熟年時代を迎えています。この時代に企業が勝ち技くためには、製品を多品種化して、事業の多角化を図っていく必要に迫られています。その対応策として、自社内のヒト、モノ、カネ、技術等の経営資源を利用するだけでは時間がかかりすぎ、激しい環境の変化についていくことは困難です。そこで、新規事業開拓としてのM&Aが必要となってきています。
 新規事業開拓としてのM&Aの必要性は、買いニーズを中心としてのものですが、売りニーズを中心としたM&Aの必要性として事業承継対策があります。また、買収をかける側の資金調達方法としての敵対的M&Aや、国際化時代を本格的に迎え海外を使った相続対策としてのM&A、そして不動産売買を変形させた不動産M&Aがあります。
 不動産M&Aとは、会社が所有している上地等の不動産を譲り受ける目的で土地所有会社を買収することをいいます。買収目的は、土地所有会社の不動産を手に入れたいわけですが、課税負担の有利性から、あえて不動産の売買という形をとらないで、株式の売買という形を選択するものです。
 土地譲渡益の課税、会社の所有する土地の売却により生ずる譲渡益については、通常の法人税と法人地方税が課税されます。
 普通法人および協同組合(公益法人、人格のない社団、外国法人を除く。)が解散または合併をした場合には、次のような確定申告をする必要があります。
 清算中の所得に係る予納申告、清算中の法人は、その清算中に各事業年度が終了した場合には、解散していない事業年度に準じてその事業年度の所得の金額または欠損金額および法人税額を計算し、これらの金額を記載した清算中の所得に係る予納申告書をその事業年度終了の日から2か月以内に、税務署長に提出しなければなりません。
 残余財産の一部分配に係る予納申告、清算中の法人は、残余財産の一部の分配をしようとする場合において、その分配をしようとする残余財産の価額がその解散のときの資本等の金額および利益積立金額を超えることとなるときは、その超える部分の金額を清算所得の金額とみなして計算した課税標準たる清算所得の金額とその法人税額を記載した残余財産の一部分配に係る予納申告書を、その分配のつど、その分配の日の前日までに税務署長に提出しなければなりません。
 清算確定申告、清算中の法人は、残余財産が確定した場合、つまり債務を完済し残余財産のすべてを分配しうる状態に至った場合には、全体を通じる清算所得の金額および法人税額を計算し、これを記載した清算確定申告書をその残余財産の確定した日の翌日から1か月以内(その期間内に最後の残余財産の分配が行われる場合には、その行われる日の前日まで)に税務署長に提出しなければなりません。
 残余財産分配のみなし配当課税、株主が会社の解散により残余財産の分配として交付を受けた金銭、その他の資産の合計額が資本等の金額のうち、その交付の基因となった株式に係る部分の金額を超えるときは、この超える部分の金額は、株主への利益の配当、または剰余金の分配として、所得税、住民税が課税されます。
 それでは、不動産M&Aをどのように具体的に進めていくのかということですが、次のプロセスに基づいて行われます。
 個人株主は、土地保有会社の株式を買収会社に売却します。
 買収会社は、土地保有会社の株式を取得し、実質的な土地所有者になります。
 個人株主は、土地保有会社の株式を売却することにより、譲渡益に対して所得税20%と住民税6%の申告納税を行います。
 土地保有会社、個人株主側からみた留意点
 不動産M&Aの有利性は、不動産の譲渡益に対する法人税等の税率と、株式の譲渡益に対する所得税等の税率差を利用したものです。したがって、株主はあくまで個人株主であることが前提となります。
 株式を譲渡した場合においても、実質的に不動産を譲渡したものとして税法上解釈されることがあります。次のような要件を満たす場合には、不動産を譲渡したものとして認定されますので注意が必要です。
 事業譲渡類似の有価証券の譲渡で、土地保有会社の短期保有土地等の価額(時価)が総資産価額の70%以上であること、譲渡人の株式等の保有期間が短期で、土地保有会社の土地等(長期、短期保有合わせて)の価額が総資産の価額の70%以上であること
 売却する土地保有会社は、複雑な債権債務を有するものではなく、財産内容がシンプルであるのが望ましいでしょう。
 買収会社側からみた留意点
 買収会社が株式取得により支配権を有した土地保有会社の土地は、転売せずにそのまま有効利用する方が有利です。土地を転売すれば、土地は原始取得価額で引継がれているため、キャピタル・ゲイン課税が転嫁されます。したがって、土地を転売する目的の場合には、不動産M&Aは不適当です。
 土地保有会社の株式を取得した買収会社は、受取配当等の益金不算入制度で特定株式等に該当し、受取配当の金額は益金不算入になります。
 買収する株式の価額が高額となるため、買収会社は、それ相応の資本力、金利負推力を有している会社であることが必要となります。

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