株式売却の課税

 かつては、株式の売却による所得は原則として非課税であり、例外として継続的取引から生じた所得および事業譲渡類似取引による所得は課税するというものでした。
 この規制は、株式の売却による所得について原則的に課税とされ、課税方法も申告分離課税か源泉分離課税を選択する方法に改正されました。
 申告分離課税はその年の株式等に係る譲渡所得等を通算し、20%の分離課税(地方税は6%)の税率で所得税を課税するものです。株式の譲渡所得に対して課税されますので、株式の譲渡所得が赤字の場合には課税関係は生じません。また、ある株式の譲渡所得が黒字で、他の株式の譲渡所得が赤字の場合には、株式等に係る譲渡所得内部で通算して税金を計算することになります。しかし、株式等に係る譲渡所得全体が赤字の場合には、他の所得と損益通算して税金を計算することはできません。
 上場等の日以後1年以内の株式等を証券会社へ売却または売委託で売却した場合で、その株式の上場等の日における所有期間が3年超であれば、その譲渡所得に対する税額はすになります。これは、上場等の日以前に取得した株式で上場等の日以後1年以内に売却するものについては、原則として源泉分離課税が選択できないことにより、上場時の株放出に対して考慮したものです。
 源泉分離課税を選択できるのは、上場株式等を証券会社等へ売却または売委託して売却した場合です。ただし、上場等の日以前に取得し、上場等の日以後1年内に譲渡する場合は原則として除かれます。
 上場等株式については、申告分離課税と源泉分離課税を選択することができます。源泉分離課税を選択する場合、譲渡収入の1.05%(地方税は非課税)で課税されます。譲渡所得ではなく譲渡収入に対して課税されるため、譲渡所得が赤字の場合にも課税されることになります。
 株式の譲渡が土地類似株式の譲渡にあたる時には、土地に係る短期譲渡所得として課税されます。
 法人の株式売却に伴う税金は、個人の場合と異なり、株式の売却損益が他の損益と通算されて課税されるので特別な問題は発生しません。
 ただし、株式の譲渡が土地の譲渡に類似する場合には、土地の譲渡が土地所有会社の株式等の譲渡で行われるという租税回避行為を防止する見地より、株式譲渡益に対して特別税率が課されています。すなわち、長期所有の上地類似の株式譲渡については追加課税で5%の特別税率、短期所有の土地類似の株式譲渡については追加課税で10%の特別税率が課せられます。
 株式の譲渡は、通常の時価で行えば問題ないのですが、譲渡価額が時価よりも低い価額で売買されますと、売主側買主側それぞれに課税関係が発生します。
 みなし譲渡所得課税に満たない場合による譲渡は、個人から法人に対する贈与等に限って適用されますので、個人に対しての贈与や低額譲渡では、譲渡する個人に対して課税関係は生じません。
 法人が時価よりも低い価額で譲渡した場合には、時価により譲渡したものとみなされます。したがって譲渡価額と時価との差額は、贈与したことになり寄付金認定を受けます。
 個人が法人に株式を無償で提供したり、時価のうレ未満の価額で売却した場合は、原則として時価で売却したものとみなされ、売主側の個人に譲渡所得税が課税されます。
 法人が株式を低額で売却した場合には、時価の1/2未満かどうかのみなし譲渡課税は全く関係なく、時価で取引したものとされます。したがって、譲渡価額と時価との差額が売却益として計上されます。一方、法人の取引の仕訳を考えた場合の相手科目は、譲渡した個人への寄付金または給与となります。
 個人から個人が株式を譲受ける際の時価としては、「財産評価基本通達」による評価額があります。譲受価額がこの評価額を下回る場合には、その差額が贈与されたものとして贈与税が課税されます。
 法人が法人より譲受け、法人税の場合の時価は、相続税評価額ではなく、取引時点での取引実勢価額です。法人間の売買は時価で売買されたこととされますので、譲受価額と時価との差額は受贈益として課税されます。
 法人が個人より譲受け、法人間の売買と同様、時価で売買されたことになり、その差額は、受贈益として法人に課税されます。
 個人が法人より譲受け、前述のように、譲渡価額が時価よりも低い場合には、その差額は給与(役員の場合は役員賞与)として課税されます。
 法人税法では、取引相場のない株式についての価額は、法人税法基本通達で時価の考え方を示しています。
 この通達によれば、売買実例、類似法人の売買実例価額に該当しないケースは、「期末または期末に最も近い日における株式の発行法人の事業年度末における1株当りの純資産価額を参酌して通常取引されると認められる価額を算定して、これを期末時価とする」としています。この規定は、抽象的ですので、これだけで非上場株式の時価を算定することは困難です。そこで、通達は、課税上弊害がない限り、次の2つの条件のもとで、法人が非上場株式の評価損の計上に際し、財産評価基本通達に定める評価方式の例によって期末時価を算定しているときは、原則として認めるとしています。
 中心的な同族株主の有する株式は、会社が大会社や中会社であっても常に小会社と同様に評価すること。
 財産評価基本通達の純資産価額の算定方式で算定する際に、土地等と上場有価証券は、常に市場価額(時価)により評価すること。
 この通達は、非上場株式の評価損を計上する場合の期末時価の算定について定めていますが、非上場株式の売買を行う場合の適正取引価額の決定にも準用されています。

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