不動産M&Aの買主側の利点

 買主側の一般的なM&Aのメリットは、時間の購入、既存会社との相乗効果、投資の安全性・確実性、時価より安く購入、労務対策、相続対策等を挙げることができます。
 M&Aの最大のメリットというべきもので、既存企業を瞬時に購入できることです。企業が新製品の開発を行い、量産化をするには、土地の取得、工場の建設、機械の設置、従業員の確保・訓練が必要となり、相当な歳月をとられることになります。
 そこでM&Aを行えば、人的設備、物的設備を一気に取得することが可能となります。
 M&Aによって企業を買収すれば、既存会社の生産力、販売力、資金力等が等比級数的に伸びることになります。すなわち「1+1=2]ではなく「1+1=4〜5」という計算です。 2位企業と3位企業が合併によってトップに立てぼ、ガリバー的存在となってシェアを更に伸ばすことができるごとくです。
 新製品の開発と商品化に成功すれば、独占企業としてハイリターンを得ることができますが、反対に失敗すれば投資回収はゼロとなります。この投資額が大きければ大きいほど、失敗すればその影響は大きいものとなり、企業の浮沈に関わります。
 そこでM&Aを行えぼハイリターンは望めないかもしれませんが、買収対象企業の現在の生産力・利益性・販売力等は見えているのですから、安全・確実なものとなります。
 M&Aの買収価額は、時価を基準に計算されますが、簿外債務の問題や製造物賠償責任等の問題が将来発生する可能性がありますので、通常時価の7割から8割にて取引されています。
 よってM&Aの取得の方が安く購入することが可能です。
 親会社の高齢化対策として新規事業を取得し、その役員、主要ポストに親会社の人員を派遣できます。
 収得者が個人であれば、通常時価にて株式を取得することになり、相続税評価額との差額分評価が下がることになります。
 一般的なM&Aのデメリットは、短期利益指向、簿外債務発生の可能性、財務体質の脆弱化を挙げることができます。
 M&Aを行えば、投資の効果が即座に現われるため、長期的展望に立った利益計画立案の考えがなくなり短期的な利益指向となってしまいます。それ故、経営理念、長期基本方針から導かれるような考えが減少します。
 M&A後簿外債務が見つかったり、製造物賠償責任が生じたりして買収コストが非常に高くつくことがあります。
 買収企業は、通常買収資金を借入により調達します。そのため、親会社本体の財務体質が脆弱化することになります。
 不動産M&Aのメリットも全般的なところは、一般的なM&Aと同じですが、所有権移転登記の省略、国土法中請なし、買収価額の廉価性、相続対策を挙げることができます。
 通常の不動産取引では、代金決済後所有権移転登記を行います。しかしM&Aでは、不動産の所有者はそのままで、出資者の変更だけですので移転登記の手続は必要ありません。それ故、移転登記に係わる登録免許税は不要です。
 不動産売買を行うには、現在国土利用計画法第23条により売買金額の届出を都道府県知事にする義務がありますが、M&Aでは有価証券の売買であるため、届出書提出の義務がありません。但し行政指導として実質的に不動産売買と同じ場合には、届出書を提出する方が望ましいとしています。
 不動産M&Aでは、有価証券譲渡益課税26%という申告分離課税制度の恩典をフルに受けることにより手取額は極大化します。
 その分、買収側では税効果、簿外債務、偶発債務発生の可能性を考慮して、時価の70%から80%にて取引することができます。
 一般的M&Aで記述したように取得者が個人の場合には、時価と相続税評価額との差額が相続財産を減少させ相続対策ができます。特に土地や建物の相続税評価額と時価との差額は、他の財産に比して開差が大きいのでその効果は更に高くなります。
 不動産M&Aのデメリットも一般のM&Aデメリットと同じですが、売却時に法人税等の課税、個人購入者の支払利息の必要経費算入部分、土地負債利子課税のデメリットがあります。
 不動産M&Aでは、常にキャピタルゲインの問題がありますが、被買収会社の帳簿価額をそのまま継承しているため、売却時点で相当の売却益が生じ、課税が発生することになります。
 これを防ぐ方法として、被買収会社を買収会社が合併し、その時生じる買収会社の株式消却損を被合併会社の、減資益に相当する金額、資本積立金額、利益積立金額、合併差益金の掲げる金額以外の金額、受入資産の含み益の順で補てんすることにより簿価上げを行います。
 個人が借入金にて株式を取得した場合、その借入金利息は配当所得の必要経費になるだけで、配当所得の赤字の損益通算は認められません。
 よって配当収入までの支払利息が控除できるだけですので、その金額は非常に小さく個人の資金負担が大きくなります。

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