M&A売買交渉

 何事も交渉、計事の前には周到な準備が必要と言われますが、M&Aにおいても同じことです。包括的な調査と計画によって潜在している問題点を浮き彫りにし、交渉の重点項目をあらかじめ絞り込んでおくことが大切です。例えば、資金調達の決定権は誰が有しているか、期間はどれくらいで行わねぼならないか等です。
 M&Aの交渉当事者を誰にするかということも非常に大切です。例えば同業者間同士であれば、仲介者を通さずに当事者間同士の方がスムーズに達びます。当事者間同士のM&Aでは、秘密が守れる、仲介料を節約できる、話しが進め易い等のメリットを持つ反面、買収対象企業の範囲が限定される、対立関係が生じると調整に時間がかかり、客観的視点で相手を見ることができない等のデメリットがあります。
 現在このようなメリット・デメリットを考え、また日本では売却企業のファインダーとしての機能が必要なため、仲介業者に依頼しているケースがほとんどです。
 相手側のキーマンは誰か、売買交渉を行うに際し、重要なことは交渉する相手がキーマンであるかどうかです。何となれば、相手がキーマンでなければ、いたずらに時間を喰い前に進まなくなってしまうからです。
 買収価額を明確にする、つぎに大事なポイントは、買収側・売却側ともに買収価額を幾らにするかということです。すなわち買収交渉に入ることができるのは、売却側の最低売却希望価額より買収側の最高希望価額の方が高い場合です。それ故この両者の接点がなければ、両者土俵に上がることができず、交渉のスタートは切れないことになります。
 買収方法には通常株式取得方式、営業譲渡方式、合併方式があります。これら3つのM&A方式には、それぞれの特色があり、この採用・不採用によって買収側・売却側の将来の展開や買収手取額が大きく変わることになります。
 買収側にとっては、買収する際の資金調達方法が重要です。金融機関からの借入によって資金を調達するか(この場合でも自社物件を担保提供するか、買収対象企業の資産を担保に入れるかの選択があります。)、増資、社債発行によって資金調達するか等の選択をしておき、交渉が捗っている時にスムーズに資金調達できるようにしておきます。
 売却会社にとっても、買収会社にとっても大きい次のポイントは、役員・従業員の処遇等です。
 売却側にとっては、退職金としての支給はあるにしても職を失し、次の職場を採さなければなりません。また買収会社にとっても人材がM&Aの目的であるとして高処遇を条件にしても、従業員の離散が始まれぼ何もなりません。
 交渉を仲介者に依頼する場合、仲介者の仲介料を幾らにするかを事前に決めておくべきです。仲介者にとっても自分の交渉次第で自分の報酬額が分ると交渉にも熱が入ります。
 社内担当者であれ、仲介者であれ交渉担当者には次のような資質が必要です。
 明るく交渉できる人、秘密保持を徹底できる人、機敏な行動ができる人、即決即断の能力を備えている人、頭脳が柔軟で大局的な判断能力のある人、経理・税務・財務・法務等幅広い知識を持っている人、信義を重んじ、粘り強い忍耐力がある人、ブレーンを上手く使える人。
 一般的なM&A売買交渉のポイントは上述したとおりです。不動産M&Aの売買交渉では一般的なM&Aのポイントと同じですが、特に次の項目がポイントとなります。
 不動産の時価は、ここ数年下落しています。売却側は過去の高値で買収価額を決定しようとしますし、買収側は未だ下がるのではないかという気持で値をつけています。交渉当事者は、幾らなら売る買うという金額を必ず順に入れて交渉すべきです。
 不動産M&Aにおいても、不動産関連融資の規制を受けるため、借入金による資金調達は厳しくなっています。買収側にとっては、ファイナンスの方法を十分に考慮する必要があります。
 不動産M&Aを行う売却側の理由が何であるのかを検討します。売却理由が、後継者不在、将来の事業経営に不安を持っている等であれば問題ありませんが、救済型で、この不動産を処分して赤字の埋め合せを考えている場合には、簿外債務の有無、偶発債務発生の可能性を交渉の段階で見極める必要があります。
 売却対象の不動産以外に不動産がある場合、M&Aの方式を株式取得方式で行えば買収側が引き継ぐことになります。よってこの不要不動産を含めたところで買収価額を決めるか(税金部分は当然控除される)、売却側で不要資産を買取るかの方法が選択されます。
 不動産M&Aでは、通常株式取得方式のため、買収側のこの不動産の取得価額は簿価のままになっています。それ故この不動産を売却すると買収側には多額な譲渡益が発生し、法人税等の課税が生じます。そのためこの税金部分を折半し買収価額を下げるか、どうかが検討されます。
 不動産M&Aでは経営権の取得ではないので100%買収になります。そこで売却側では名義株を念書等を提出させることによって実質株主に集結して株券の発行を行います。
 またM&Aに反対する株主がいる場合には第三者割当増資と減資により反対株主の持株比率を下げるとともに、端株にしてしまう等の方法を採ります。

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